スパイ小説のような「影武者説」について、妄想の糸を紡ぐ。するとそ
こには、SF小説もどきのグロテスクな光景が現れることは、前回に述
べた。
ところが一昨日、私の夢想をもう一度スパイ小説のほうに引き戻す興味
深い臆説が登場した。金正男の動向を北朝鮮の工作員に密告していたの
は、実は金正男の事実上の「第三夫人」である愛人だったというのであ
る。
《暗殺は「愛人の裏切り」か 事実上の第三夫人、殺害を黙認の指摘も
》(産経ニュース2月27日配信)が、この情報をまことしやかに伝えて
いる。真偽不明のこの情報に接して、私はまたしても妄想癖をたくまし
くした。
どうなのだろう。愛人でもあったこの第三夫人は、同居している太鼓腹
の男が本物の「金正男」ではなく、その影武者であることに、気づいて
いたのか、いなかったのか――。この男が本物の「金正男」のものとは
違った身体的特徴を持つことに、彼女は(薄っすらとではあれ)気づい
たのではないか。
この愛人が本物と影武者と、三人で同居していた時期があったとも考え
られなくはない。だが、暗殺の恐怖を日々、身をもって感じている本物
の「金正男」が、愛人を信用するほど間抜けだったとは考えられない。
とすれば、彼は(影武者の存在という)秘密をはっきりと悟らせてしま
う三人同居の境遇には身をおかず、自分は別の場所に身を潜めて、影武
者を本物だと愛人が信じるように仕組んだに違いない。
この企(たくら)みが愛人に気づかれなかったとすれば、彼女が「ジェ
ニュイン正男」のつもりで北の工作員に売り渡したのは、実は「フェイ
ク正男」のほうだった可能性が出てくることになる。
自分たちが殺害したのは「ジェニュイン正男」だったのか、それとも
「フェイク正男」だったのか――。北朝鮮がなおも遺体の引き渡しにこ
だわるのは、その真相を確かめたいと思うからではないだろうか。自分
たちが殺害したのは、影武者だったのではないか・・・?――こういう疑い
をいだく北朝鮮トップの「金正恩」も、本物ではなく影武者、つまり
「フェイク正恩」である可能性は排除できないのだが。
まあ、それはともかく、もう一つ分からないのは、北朝鮮への引き渡し
を断固として拒み続けるマレーシア側の態度である。
DNA鑑定による身元確認は行っていないというのだから、マレーシア政
府は、「本物か、それとも影武者か」をあくまではっきりさせたくない
腹なのだろう。そういう態度に固執するマレーシア政府の真意はどこに
あるのか、私にはイマイチはかりかねる。
とにかくそういう具合に、あれこれと謎が多いから、この事件は耳目を
集め続けるのだろう。
さて、この先はどうなるのか?面白いストーリーは、ネットという怪物が
きっと編み出してくれるだろう。
お後がよろしいようで。
こには、SF小説もどきのグロテスクな光景が現れることは、前回に述
べた。
ところが一昨日、私の夢想をもう一度スパイ小説のほうに引き戻す興味
深い臆説が登場した。金正男の動向を北朝鮮の工作員に密告していたの
は、実は金正男の事実上の「第三夫人」である愛人だったというのであ
る。
《暗殺は「愛人の裏切り」か 事実上の第三夫人、殺害を黙認の指摘も
》(産経ニュース2月27日配信)が、この情報をまことしやかに伝えて
いる。真偽不明のこの情報に接して、私はまたしても妄想癖をたくまし
くした。
どうなのだろう。愛人でもあったこの第三夫人は、同居している太鼓腹
の男が本物の「金正男」ではなく、その影武者であることに、気づいて
いたのか、いなかったのか――。この男が本物の「金正男」のものとは
違った身体的特徴を持つことに、彼女は(薄っすらとではあれ)気づい
たのではないか。
この愛人が本物と影武者と、三人で同居していた時期があったとも考え
られなくはない。だが、暗殺の恐怖を日々、身をもって感じている本物
の「金正男」が、愛人を信用するほど間抜けだったとは考えられない。
とすれば、彼は(影武者の存在という)秘密をはっきりと悟らせてしま
う三人同居の境遇には身をおかず、自分は別の場所に身を潜めて、影武
者を本物だと愛人が信じるように仕組んだに違いない。
この企(たくら)みが愛人に気づかれなかったとすれば、彼女が「ジェ
ニュイン正男」のつもりで北の工作員に売り渡したのは、実は「フェイ
ク正男」のほうだった可能性が出てくることになる。
自分たちが殺害したのは「ジェニュイン正男」だったのか、それとも
「フェイク正男」だったのか――。北朝鮮がなおも遺体の引き渡しにこ
だわるのは、その真相を確かめたいと思うからではないだろうか。自分
たちが殺害したのは、影武者だったのではないか・・・?――こういう疑い
をいだく北朝鮮トップの「金正恩」も、本物ではなく影武者、つまり
「フェイク正恩」である可能性は排除できないのだが。
まあ、それはともかく、もう一つ分からないのは、北朝鮮への引き渡し
を断固として拒み続けるマレーシア側の態度である。
DNA鑑定による身元確認は行っていないというのだから、マレーシア政
府は、「本物か、それとも影武者か」をあくまではっきりさせたくない
腹なのだろう。そういう態度に固執するマレーシア政府の真意はどこに
あるのか、私にはイマイチはかりかねる。
とにかくそういう具合に、あれこれと謎が多いから、この事件は耳目を
集め続けるのだろう。
さて、この先はどうなるのか?面白いストーリーは、ネットという怪物が
きっと編み出してくれるだろう。
お後がよろしいようで。