
少しユニークな形状だけれど、可愛らしいバランスのクレイアニメーションで描かれるグレースとギルバートの双子の人生。
両親が亡くなった事で別々の里親に引き取られた二人。グレースの里親は妙な自己啓発セミナーに夢中でギルバートの里親はかなり怪し気な宗教団体の創始者。
可愛らしいクレイアニメーションと優しい語り口調でほのぼのした日常かと思いきや、内気なグレースも、火遊びが大好きなギルバートとも、平凡な人生を歩んでいるとは言い難い。語られる彼らの生活は、かなり不思議だ。ただ、そんな現実に押しつぶされそうになっているように思える中でも、その人生はどこかユーモアを持って語られる。信じている人に裏切られても、人生を棒に振ろうとは思わないし、厳しい中にも不思議な励ましを貰ってどん底に落ちる事なく、再び小さな一歩を踏み出そうとしたりする。
クレイアニメーションの温かさに包まれて、辛くてもちょっと生きていればいい事があるかもしれないな・・と思える不思議な映画。
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手作業にこだわったという8年の製作期間。ちょっと厳しめの双子の人生に8年間も向き合い続ける事が出来たのは、厳しい人生の中にもユーモアと優しさを見つめるという精神があったからだろう。その諦めない優しい気持ちがじわっと伝わってくる。