一番最初の緊急事態宣言が出て、GWも近づいてきた頃、マスク外交の一環で中国からブルーのマスクが職場に大量に送られてきた。(1月に日本からマスクを送ったお礼の意味もあったのだろう)
当時は手持ちのマスクの数が少ない人も多く、不織布がザラザラしたり紐の付け具合に問題があっても、皆それなりに喜んでマスクを使っていた。
紐は割と直ぐに取れてしまったりしたので「ホッチキス止めすれば、1日は持つよ」等と情報交換し、手持ちのマスクの数があまり減らないように皆調整していた。
私は担当者として在宅勤務をしていた人が出勤した際を見計らったりしてマスクを配っていたのだが、ある同僚はそのマスクを見ると「私はいらない」と言う。それなら別の人に配ろうとすると、「一応貰っておくわ。使わないけど」と言うのだ。「もし使いたくないなら、貰ってもそのままにしておけばいいのにな・・・」と思ったのだが、私が顔を曇らせたせいか「ブルーのマスクをしていると、医療機関関係者だと思われるから使いたくないの。電車で同じ車両にブルーのマスクをしている人がいたら、私は車両を変えるようにしている。えっ?知らないの?皆そういう風にやっているよ。」と、「要らない」と言った理由を説明してくれた。
緊急事態宣言中でも電車の中はそれなりに人はいた。その中で、いちいち車両を替える?そして、皆って誰だと思った。そんな事を言われても・・・何と言葉を返せばよかったのだろう。
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「車両を替える」と言ったその人は、コロナの予防接種の副反応がほとんど出ない私の様子を見て「どうしてなんにも副反応が出ないの?みんなは、こんなに辛いのに・・・副反応が出ないなんておかしくない?不公平じゃない?」と言っていた。
副反応についてはとても微妙な話だと思ったので、自分からは副反応がない事は敢えて話さないようにし、聞かれても話をはぐらかすようにしていたのに・・・これもなんと言葉を返せばよかたのか・・・
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中国からのブルーのマスクは、職場の人員に対してかなりたくさんの数が届いた。マスクが手に入りにくかった時は皆使用していたが、段々と店舗で様々な種類のマスクが販売されるようになると、そちらを好む人も多くなった。
一遍には配布しきれなかったので第二弾として配布しようとしたのだが「もう大丈夫」という人が多くなったので、「又、様子を見て配布しよう」という事になったのだが、あれから3年。第二弾を配布するチャンスは来ず、ブルーのマスクは会社の倉庫の中に眠っている。
冷静に考えれば、次に配布する機会が来ない方が良いに決まっている。