Creating yourself

「自分発見の旅から自分創造の旅へ」  

記憶の片隅から

2009-05-04 09:16:19 | 旅行

田舎の街を花見がてらに散歩していたら、ある線路の脇に来て心地よいなつかしさがよみがえってきた。この道を通るのは何十年ぶりだろう。誰かの家が近くにあってそのうちに遊びに行ったことがるのを思い出した。誰の家だったんだろう。ふとI先生の名前が浮かんできた。I先生には教わったことがなかったけど、兄が2・3年教わったことがあり、母や兄からいい先生だったことをよく聞かされていた。残念ながら私は自分の小学校の時代の先生にはあまり好ましい思い出はなく、I先生だって兄のつてで何十年も前に遊びに行った私のことなどわかりもしないだろう。母に聞くとI先生は父と同じ年で80になるという。

せっかくだから先生のうちに田舎らしく、何の約束もなく立ち寄ってみることにした。耳が遠く、記憶力の弱まったか弱いおばぁさんの姿を覚悟していた。庭で植木の世話をしていたI先生は私と母の姿を見るなり、いきなり「あらYuko-chanじゃないの」と呼びかける。「よくわかりましたね。」「だって、あなた有名だったもの」つつましく(?)生きてきた私にも有名という言葉があてはまる時期があったのだろうか。それにしても、I先生の記憶力の明瞭さ。話し方も動き方もぜんぜん衰えを見せていない。

私は○十年ぶりにお会いしたのだが、私についての話は10分程度であとは母の、ほとんどテーマが誰のことなのかいつのまにか変わっているとりとめのない世間話で2時間は過ぎた。先生は本当は私の話の方を聞きたかったのにと苦笑しながらも、母のつまらない話につきあう優しさを持っている。心地よいなつかしさは、I先生の大きな包容力だったのかもしれない。直接教えをいただいたことはないが、2学期間のみ同じ学校の屋根の下にいたことがある(これも私は先生に言われるまで忘れていた)。私の担任の先生の名前まで覚えてらした(私は忘れていたけど)。転校生だったが田舎では転校生が珍しくていつも注目の的になり、それで先生が有名だったとおっしゃったのだろう。

なつかしさをひもどく甘美なひとときだった。


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