今うちにいる猫たちはとても元気だけど、せっかく縁があって飼いはじめた猫でも短い命で終わったという話はよく聞く。
世の中でもっとも心優しい友人の一人は、特別にかわいがっていた猫ちゃんを今年失った。そしてある日玄関の外にいたみすぼらしい猫を飼いはじめた。1週間ぐらいは元気で食欲も旺盛だったのに、2週間目ぐらいから突然食欲を失い獣医さんのところで息をひきとった。生きているうちにほかの猫を救うことができたらと動物保護センターをたずね新しい猫をひきとった。その猫ちゃんは元気で甘えんぼでべったり友人にくっついている。いきなり肩に飛び乗ってくるというから大きな肩は猫ちゃんにとって大木のようなものだろう。最近ではパソコン操作をしているとじゃまでしょうがないからだっこひもを買って抱いたまま作業をしているそうな。
そんなある日シャム猫の子猫ちゃんを見つけたから飼わないかという話がまいこんだ。性格もとてもいい子らしく、自分の年も考えず特別な病気がない限り飼おうということにした。名前までKingにしようと考えて楽しみにしていたようだが、獣医に健康診断に連れていった翌日突然死んでしまった。
1年のうちに3匹の猫ちゃんを弔うはめになった友人。なんかこんなふうに考えてしまった。その友人は何十年も関節性リウマチに苦しんで痛みと戦ってきた。靴下を履くのも咳をするのも痛い。死んだほうがましと思うことも幾たびかあった。前立腺癌にもなって自分は2年も生きないだろうと思って住んでる家を2年後にひきはらう計画まで立て売る契約を結んだ。なのに最近痛みから解放されることが多くなった。意外と元気になってきた。そうシャム猫の赤ちゃんを飼おうと思うほどだし、それが2匹目にかかわらずだ。厳密に言えば3匹目だ。前からいた特別かわいくない猫ちゃんは、近所のうちに一時預かりを頼んだらそのうちにいついてしまったそうだ。遊びに行っても前の飼い主には目もくれなかったらしい。もっともその猫が友人宅に住んでた理由というのも近所の人がペットシッターを頼んだまま引っ越して行ったかららしい。
なんだか、私は彼が助けた猫ちゃんの分だけ健康を取り戻せ、命が長くなっているような気がしてならない。そんなことってあるだろうか。気のせいだよね。きっと気のせい。