メーテルリンクの青い鳥を引用して読売新聞の編集手帳が書かれていたが、その記事が心にひっかかりしょうがない。以下引用。
--- 生まれる前の子供たちが、地上に降りる順番を待っている。「時の番人」から呼ばれた子供は船に乗り、おのが命の誕生に向けて旅立つ。メーテルリンク「青い鳥」の一場面である。皆が希望を胸に乗船していくなかに、ひとり、ぐずる子供がいた。「いやだ。いやだ。行きたくないんだ。生まれたくないんだ。ぼく、ここに残っていたいんだ」(新潮文庫)。理由は語られていない ---
私も若いときさらっと読んで、[そうか、青い鳥はすぐ近くにいるんだ。でも、近くにいるのがわかったのは、遠い旅に出かけたからわかったんだね。人生は簡単な真実を悟るためには大きな回り道が必要になることが多いのかもしれない。人によってもその旅の長さや労力は異なるだろう」と、その程度の印象しか今の自分には残っていなかった。
この編集手帳を書いた人は、本当にいい作品を引用したと思う。加えて言うなら、ある本には理由が書かれているようだ。
--- Now and then, something happened, as when the hero who was to fight against injustice refused to go. He clung to his playfellows, who called out to Time: "He doesn't want to, Sir!"
"No, I don't want to go," cried the little fellow, with all his might. "I would rather not be born."
"And quite right too!" thought Tyltyl, who was full of common-sense and who knew what things are like on earth.
For people always get beatings which they have not deserved; and, when they have done wrong, you may be sure that the punishment will fall on one of their innocent friends. ---
世の中のinjustice (不正)と戦わなければならない宿命の子どもは生まれたくなかったのだ。またある本には(どれが原文に忠実な訳かわからなくなった):
--- でも、ある子は「ぼくが代わりに行くよ。あの両親は年をとっていて、長い間子どもが生まれるのを待っていたんだから」と果敢に申し出るが、時の番人は「お前の番はまだ来ていない。さぁ、ぐずぐず言わずに自分の順番が来たら行くんだ。一人一人の事情を聞いてるひまはないんだ ---(Yuko訳につき少々乱暴)
青い鳥の解説が長くなってしまったが、このような宿命を背負って死んだ子は、時の番人になんと言われたのだろう。「お前は、世の中のもっとも卑劣な行為を耐え忍ばなければならない」「何故、私なのですか?それにどういう意味があるのですか」時の番人は自分の仕事の1番嫌なところを成し遂げなければならなかった。自分だって、いやだと言えるならこんな仕事はやめたい。これも自分の宿命なのだ。答えは書かれていない。。。