長野視察（３）「満蒙開拓平和記念館」―移民じゃなくて棄民だ

　11月7日（木）、松本から飯田市近くの阿智村にある今年4月開館した「満蒙開拓平和記念館」へ。北野進珠洲市議のご紹介でした。http://www.manmoukinenkan.com/
　1時間程度の滞在時間かと予想しましたが、証言インタビュー映像の前に参加者全員くぎ付けとなり、気が付くと午後1時、2時間余りの滞在となりました。

　長野は開拓団として満州に渡った人が4万人近くと全国の中でも飛びぬけて多かった県です。農家の二男、三男が「20町歩の地主になれる」という言葉を信じて大陸へ渡ります。
中国人の開拓した土地を日本人が奪いそこに住みつきます。
　しかし、1945年8月9日、突然のソ連侵攻に逃げまどい、難民収容所では飢えと寒さと伝染病で大勢の人が命を落としています。徒歩での逃避行についていけない高齢者や子どもが次々と脱落していく、わが子の首を絞める凄惨なまでの集団自決、子どもの命を助けるために断腸の思いで中国人に子どもを託す・・

「本当に地獄のような生活だった。そんなところによく国あげて追い出してくれた。移民じゃなくて棄民だ。・・・みんな殺されちゃってな。いかに戦争はむごいか。」

　思い出すのもつらく、口に出すことも長い年月はばかられた事実を絞り出すように証言されています。人の命が何と粗末にされた時代なのかと言葉もありませんでした。歴史を風化させることなく、後世に伝えるために、一人でも多くの方に訪れてほしい施設です。この施設は、入館料と寄付で民間団体が運営しています。