わくわく活動日記

山本ゆきこ~子どもこそ未来

震災がれきの広域処理には反対ー社民党県連大会で

2012-04-08 23:59:12 | 社民党
 4月8日、社民党石川県連合第15回定期大会が地場産業振興センターで開催されました。
 写真は開会のあいさつを述べる盛本芳久県連代表・県議会議員です。今大会でも、震災がれき受け入れについて賛否両論が噴出しました。

 震災がれきの受け入れ問題が全国的にクローズアップされています。県内では、梶輪島市長が受け入れを表明し、山野金沢市長も前向きで、3月議会で調査費100万円を計上しました。梶輪島市長は、5年前の能登半島地震の際、がれきの山が処理されないと復興のめどが立たないという悲痛な思いをした体験から、助けてもらった恩返しの意味もあり、受け入れ検討を表明されたと思います。

 被災地のがれきの処理は急務であり、復旧・復興の大前提です。被災地をなんとか応援したいという気持ちから、「安全ながれき処理は受け入れてもいいのではないか」と思う方が大半だと思います。「被災地をなんとか支援したい」、その気持ちは、私たちも同じです。

 しかし、今回のがれきは、放射性物質を含んでいるという点で、阪神淡路大震災のがれきと大きく事情が異なっています。政府は30億円もの広報費を使って新聞に全面広告を出しています。
 「処理をお願いしている『がれき』は、放射能濃度が『不検出』または『問題ない微量』ながれきしか、県外には持ち出しません。処理の過程で安全性を確認し、その測定結果を各自治体のホームページなどで公開しています。」
 なるほど、これを読めば、「安全ながれきなら大丈夫ではないか」ーそんな気持ちになるのは当然です。

 また、多くのメディアが、がれきの山を背景にして、「これが処理できないと、復興できないんです。地域エゴではなく、オールジャパンで助け合おうではありませんか」と訴えています。政府も国として処理費用を全額負担する、そして、各自治体へ受け入れ意向調査を実施しています。

 しかし、ここは、冷静に考えていただきたいと思います。

①現地での処理に国が積極的に支援すべき 
 今回の震災がれきと阪神淡路大震災でのがれきの量はほぼ同量の2000万トン。1年後の処理率は阪神淡路大震災が50%に対して、今回は7%足らず。前回は、仮設焼却炉を設置してどんどん地元で処理した結果です。政令市である仙台市は独自処理を進めています。焼却炉の新設を求める陸前高田市の申し出を岩手県が門前払いにしたとあります。被災地の自治体が処理プラントを建てるとき、国が支援すべきなのに、それをしなかったことが問題です。

②全体の2割を処理するために全国へ運搬することは、コスト面からも疑問
 国が広域処理を求めている量は、全体の2割足らずです。あのがれきの山全体ではありません。その2割足らずのために、全国へ運搬し、処理するというのは、コスト面から考えても疑問です。現地に予算を集中し、仮設焼却炉設置することにより、現地での雇用創出にもつながります。

③2重基準への疑問ー100ベクレルと8000ベクレル
 放射性物質は、「封じ込め、拡散させない」ことが原則です。
 東日本大震災前は、IAEAの国際的な基準に基づき、放射性セシウムの濃度が1㎏あたり100ベクレルを超える場合は、特別な管理下に置かれ、低レベル放射性廃棄物に封じこめてきました。ところが、国においては、東日本大震災後、当初、福島県内限定の基準として出された8000ベクレル(従来の基準の80倍)を、その十分な説明も根拠の明示もないまま、広域処理の基準に転用しました。
 したがって、現在、原子力発電所の事業所内から出た廃棄物は、100ベクレルを超えれば、低レベル放射性廃棄物処分場で厳格に管理されているのに、事業所の外では、8000ベクレルまで、東京都をはじめとする東日本では埋め立て処分されているのです。
 群馬県伊勢崎町の処分場では、1キロ当たり1800ベクレルという国の基準より大幅に低い焼却灰を埋め立てていたにもかかわらず、大雨により放射性セシウムが水に溶けだし、排水基準を超えた事件がありました。

④本当に安全か?
 がれきの近く線量計をかざして空間線量を測ってもあまり意味がありません。放射性物質は、焼却することで最大33倍に濃縮されるといわれています。
 また、焼却炉のバグフィルターは、放射性廃棄物の焼却に対応していません。放射性セシウムは、焼却すると気化して拡散するか灰に濃縮されて、作業員や住民の内部被ばくをもたらします。低線量被ばくの影響に対する「予防原則」を厳格に適用すべきです。

⑤責任は国と東電にある
 痛みの分かち合いという美名のもとで放射能を分かち合い、拡散・放出させることがあってはなりません。放射能に汚染されたがれきについては、放射性廃棄物として国の責任において処理するべきです。