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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

JRは臨機応変の仕事ができない~上~ 地震の時の踏切

2021年05月22日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

地震時に電車が止まると近くの踏切は閉じたまま

 

NHKの朝の番組で、大地震時に列車が止まると、近くの踏切が閉まったままになると言う問題が紹介されていた。停電など不都合があると、踏切が開くよりは閉まるシステムになっているのは合理的だけど、大地震時に踏切が閉まったままになるのは問題。交通がそこで止まってしまうので、緊急車が通れないし、車での避難ができない。

 

もっとも、電車が来ないのに遮断機が下りている踏切で止まっている日本人は律儀というか、どうだか? 電車が来たとしても、いきなり通常のスピードで来ないと思うけど。

 

踏切は手動で開けられるけど、JRは現地で操作できる係員が少ないので全部の踏切には対応できないと言っていた。東京南部から横浜にかけての地域に十数人しかいないとか。本当かいな? JRは何を考えているのやら。

 

JRのもう一つの言い分は、地震が収まったら電車を動かして避難者を乗せたいので、踏切を開けると、その後の対応が大変だと言うもの。そりゃそうだけど、大地震が起きると長時間電車が動かない。

 

2011年の東北大震災の時、東京西部の大部分では震度5弱、横浜でもほとんどは震度5弱でした。この時、近くを通る私鉄は線路の構造物に異常がないか、歩いて点検していたので、当日は電車が動かなかった。こういう時は、当日は踏切を開けるべきです。(東京の一部の私鉄は、当日夜に動いた)

 

2018年6月に起きた震度6弱の大阪北部地震では、一部の路線で数時間後に電車は動いた。この時は東北大震災の経験があったので、地震後の対応に生かされたのだと思う。しかし、こういう場合も状況を判断して、地震の時は利用者が手動で踏切を開けられるようにするべきで、電車を動かす時はまず徐行で運航して踏切を閉めていけばよい。

 

JRは、地震直後の現実的な対応と、地震後の運転再開の準備計画を持っているのか、心配になる。手順を明確にして、周知しておくべきです。

 

2021年5月22日

続きは、「JRは臨機応変の仕事ができない~中~ 鉄橋の上で長時間停車

 


韓国新幹線は日本タイプへ

2021年02月19日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

韓国はフランスから技術導入して、フランス方式の新幹線を作った。フランス方式とは、両端に機関車、中間に客車を連結したもので、モーターは両端の機関車にしかなく、機関車には乗客は乗れない。日本は電車方式で、各車両にモーターを分散して配置しており、乗客は全ての車両に乗ることが出来る。

 

フランス方式の欠点は、機関車が重いので線路に負荷がかかること。日本方式の新幹線の欠点は、モーターが各車両に分散しているのでメンテナンスが煩雑なこと。お互いに一長一短がある。

 

長らく、高速列車は機関車方式(フランス方式)が良いのか、電車方式(日本方式)が良いのか、議論があった。ところが最近では、フランスでも電車方式が製造されて走っている。どうやら、日本方式の方が優れているということになりそうです。

 

ところで、2021年1月4日の韓国のメディア聯合ニュースに「環境に優しい新型高速列車に試乗 文大統領」と言う記事が載っていた。一部を引用する。

 

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韓国の文在寅大統領は2021年1月4日午前、原州駅を訪れ、5日に正式運行を開始する高速鉄道(KTX)の新列車「イウム(EMU―260)」に試乗した。

 

 同列車は動力装置を客車に分散させて搭載する動力分散方式の高速列車で、二酸化炭素(CO2)の排出量が既存の列車の7割にすぎない低炭素列車だ。

 

 韓国政府は同列車を皮切りに準高速鉄道(EMU)の導入を拡大し、2029年までに全旅客列車をEMUに交代する方針だ。温室効果ガス約7万トンの削減が見込まれる。

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要は、フランスの技術で新幹線を作ったが、機関車方式を止めて、全車両を電車方式の高速列車に置き換えていくということ。韓国の新聞は「日本の新幹線方式に替えていく」とは書けないので、二酸化炭素排出量の削減を理由にして誤魔化している。

 

昔の日本の人は先見の明があったということです。

 

2021年2月19日

 


大田区役所の地下に・・・は、鉄道フェイクニュース

2021年02月08日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

大田区役所地下に鉄道トンネルのスペースがある?

 

Yahooニュースを見ていたら、JR東日本の「羽田空港アクセス線」紹介するある記事の中に次のような記述がありました。

 

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蒲田駅東側には大田区役所がありますが、庁舎地下には鉄道トンネルのスペースが確保済みという〝都市伝説〟もあります。

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30年くらい前のことは皆さん知らないのかな? あるいは忘れた? 40歳以下の人はもともと知らないかもしれない? 少し昔の情報は案外知られていないのかな。

 

区役所ビルはバブル不動産屋が建てた

 

そもそも今の蒲田駅の線路傍にある区役所ビルは、あるバブル不動産屋が元国鉄用地を買い取り、ビルを建てたもの。当時、この用地は大田区も狙っていたが、バブル不動産屋に入札で負けてしまった。ビルは建ったが、入居する企業が見つからないうちにバブルが弾け、バブル不動産屋は倒産してしまった。その後、このビルを大田区が買収した。(当時の区役所は大森駅と蒲田駅の中間の、駅から遠い所にあった。なにしろ、森と蒲で大田区ですから、区役所は中間にあることが必要だった?)

 

こういう履歴のビルなので、地下に「鉄道トンネルのスペースが確保済み」ということはあり得ない。バブル不動産屋が直ぐに金にならないことをするわけがない。

 

これは「都市伝説」というより、フェイクニュースです。鉄道マニアなら、少し調べればわかることなのに。情報のレベルが低い。

 

念のため蒲蒲線について

 

ちなみに、JR東日本の「羽田空港アクセス線」(JR東日本も赤字を出すご時世なのに、この事業を始めるようです。延期という噂もあったけど)が出来れば、JR蒲田駅に隣接する東急蒲田駅から800m離れた京急蒲田駅近くに至る(最終的には、京急空港線に接続する)蒲蒲線構想は雲消霧散雲散霧消です。いまだに蒲蒲線を持ち出す鉄道ライターがいますが、アホちゃいますか。大人なのに、費用対効果を考えたことが無いのかな? 東急に睨まれると情報を出してくれないのが怖いのかな? 最近の鉄道ライターの記事は、小学生向けと思わせるほどレベルが低い。

 

(蒲蒲線に関しては、2018年09月02日の「東急東横線の三重苦」を参照。下の方の③に書いてあるし、他のブログも載せてある)

 

2021年2月8日

 


西武新宿線が地下鉄東西線に直通?

2020年10月25日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

9月28日の東洋経済オンラインに「『新宿線―東西線直通』へ、西武社長の意気込み」という記事が載っていた。

 

記事の前半は、西武新宿線のブランド価値を上げるなどの話なので省略。最後のところに、西武新宿線を地下鉄東西線へ直通させたいと社長が言っていた。うん? 東西線って既にJRが直通しているし、これ以上走れないほどギリギリの数の電車が走っているのでは? (大手町駅で見ると、2~4分間隔で電車が来る)

 

なぜ西部新宿線が問題かというと、西武池袋線は地下鉄有楽町線や地下鉄副都心線に直通して、乗り換えなしで都心に向かうことができるのに対し、新宿線はどこにも直通していないので、高田馬場駅で多くの乗客が乗り換えていて不便だから。

 

しかし私の印象は、もともと西武は他社線直通に後ろ向きだったのでは? 西武池袋線が有楽町線や副都心線に直通しているといっても、あとから東武東上線の直通線に横入りしたような少し無理な線形になっている。

 

こじつければ西武の源流は池袋線であって、新宿線の源流は別で、後から買収した線。その当時の影響が現代まで残っているとは思えないけど。

 

(以前に書いたけど、新宿線の源流は国分寺と川越間を結ぶ単線非電化の「川越鉄道」。ところが、東上鉄道(現在の東武東上線)との競争に負けそうになり、東村山から新宿まで一気に複線電化の路線を作ったのが新宿線。のちに池袋線の源流の会社に買収される)

 

いじくるのはこれまでにして、新宿線が東西線へ直通できるのか?考えてみる。上で書いたように、既にJRが直通しているし、列車の本数もかなり多いので無理。

それに、上の高田馬場付近の地図を見ても、新宿線と東西線の直通線を作るのはかなり難しそう。

 

新宿線以外の乗り入れ可能な地下鉄(狭軌でパンタからの集電方式)は、東西線、有楽町線、副都心線しかない。有楽町線は、既に書いたように東武東上線と西武池袋線が直通している。副都心線は、東武東上線と西武池袋線、そして反対側から東急東横線が直通している。ここに、西武新宿線が割って入るのは至難の業。地下鉄はこれ以上新線を作らないらしい。(枝線のような線は作るとか?)ハッキリ言って、今から西武新宿線を地下鉄に直通させるのは無理だよ。何をいまさら。

 

西武が増資

10月16日の新聞に西武鉄道とプリンスホテルは800億円の増資を検討するという記事が出ていた。つまり、新型コロナウイルスの影響で乗客が減り、金がないということ。こんな時に金のかかる地下鉄乗り入れなんてことはできないのはあきらか。夢物語です。

 

ついでに

 

JR東も赤字なので、羽田空港アクセス線も先送りか?と梅原淳氏書いている。そうすると、通称蒲蒲線(東急多摩川線の京急蒲田駅方面への延伸)も先先送りです。

 

2020年10月25日

 

(補足)2020.12.05

「接続するなら落合付近」というコメントが来ました。グーグルマップで山手線の西側の落合、中野付近を眺めてみましたが、この付近は住宅の密集地で二つの線を繋いで地下を通れそうな大きな通りは無いですね。40mより深い大深度地下は使えるかなあ? 間を流れる神田川の上空や地下は使える? 一部だけど落合中央公園は使えるかも。大深度地下を利用しないとすると、神田川の上空や今ある民家や建物の地下を通ったり、敷地を買収したりすることになるので、相当手間と金がかかる。(東西線でも、落合付近で民家の真下を通っている部分があるけど、補償はどのようにしたのかな?) それより、東西線に西武新宿線が乗り入れる余裕が無いのが問題。

 


近鉄のフリーゲージ・トレインは成功するか? ㊦スペインのタルゴの技術は特別

2020年09月16日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

2020年6月14日の「近鉄のフリーゲージ・トレインは成功するか? ㊤買収された奈良電とJR奈良線の悲哀

2020年6月17日の「近鉄のフリーゲージ・トレインは成功するか? ㊥吉野へ行くには標準軌と狭軌を通る

 

の続きです。

 

日本の「フリーゲージ・トレイン」は、新幹線と在来線の直通用として開発していたが、ギブアップした。耐久性が問題と報道されている。

 

タルゴの「フリーゲージ・トレイン」

 

2016年09月10日のブログ「サウジアラビアの高速鉄道その1~サウジアラビアをタルゴが走る~」では、スペインのタルゴ社の高速列車について書いています。

 

スペインのタルゴ社と言えば、私の学生時代から「フリーゲージ・トレイン」で有名な鉄道車両製造会社でした。そのユニークな技術を使った車両は興味を引きましたが、キワモノという感じで日本では使えないという印象でした。

 

タルゴ社製の高速列車の特徴は、何と言っても下図に示すような二つの特徴がある。

タルゴの編成

 

①「連節台車」

 「連節台車」は、車両を繋ぐ連結器の下に台車がある。カーブを曲がり易いのが特徴。

 

②一軸の独立した車輪

新幹線などの高速鉄道の車体は、普通は2軸の車輪を持った台車が2台ある。一般的な連節台車も2軸の車輪を持った台車が多い。しかし、タルゴの連結器の下にある台車は一軸の車輪であり、しかも車輪は左右独立して回転するという独特の構造です。

一軸の車輪のイメージ図

 

一軸で左右独立した車輪

 

この一軸の左右の車輪は車軸で繋がっていないので、左右の車輪の行程差を補正しなくて良いので、カーブを曲がり易い。つまり、脱線し難いし、カーブでのキーキー音がうるさくない。左右の車輪が車軸で繋がっていない構造は、車輪を左右に動かし易いので、結果として「フリーゲージ・トレイン」をやり易い構造になっている。

 

このように左右の車輪が車軸で繋がっていない一軸の車輪を使うとメリットもあるが、車体を支える車輪の数が少ないので、車両の重量を軽くする必要がある。そのため、タルゴの車両はかなり短い。

 

タルゴは機関車(連節台車ではない)を連結しているので、軌間が変わった場合、機関車をどうするか?

①機関車も「フリーゲージ・トレイン」にする

②軌間の違う(フリーゲージ・トレインではない)機関車を外したり付けたりする

タルゴは、場合によって①か②をやっているようです。

 

「スペインのタルゴは昔からやっているのに、日本はなぜ出来ない?」という意見の人もいるかと思います。タルゴはユニークな技術に固執してここまで発展させたのはすごいですが、日本が流用できる技術は無いと思う。

 

日本では標準軌⇔狭軌の「フリーゲージ・トレイン」ですが、タルゴは標準軌⇔広軌なので床下の機器の配置に余裕があり日本よりやり易いという意見もある。それにタルゴは機関車がけん引する客車なのに対して、新幹線は電車なのでモーターが付いているので、余計にやりにくい。(スペインでは、電車の「フリーゲージ・トレイン」もあるようですが、詳細不明です)

 

タルゴが日本の「フリーゲージ・トレイン」の参考になるとしたら、世界に「フリーゲージ・トレイン」が存在しているということぐらいでしょうか。

 

「フリーゲージ・トレイン」に吉野特急は丁度良い

 

既に書いたように、日本の「フリーゲージ・トレイン」は、新幹線と在来線の直通用として開発していたがギブアップした。ギブアップした本当の理由は発表資料が少なく詳しくわからない。

 

しかし、新幹線より低速、かつ短距離で使用すれば何とかなるという意見もあるので、近鉄はそれに賭けたと思う。確かに新幹線と近鉄の吉野特急を比べると、吉野特急に有利な点がある。

 

①吉野特急は、1日に1~2本(私の推測)と少ない

②最大4両編成(私の推測)と短い

③長崎新幹線用は、新大阪乗り入れが前提なので、〈新大阪-博多間〉約620Km+〈博多-長崎間〉約145Km=約765Kmに対して、京都-吉野間は約84Kmと大幅に短いので技術の壁は低くなる。

④新幹線は最高時速200Km以上必要だけど、吉野特急は最高時速120Km程度とより低速なので、技術の壁は低くなる。

 

まとめると、京都-吉野間の特急でフリーゲージ・トレインを使うと、近鉄としても目が届くので、メンテナンスや故障時の対応はやり易いという良い点がある。

 

この吉野特急で本当に「フリーゲージ・トレイン」を実用化出来るのか、私は疑っていたが、こうして見直してみると何とかできるような気がしてきた。

 

この吉野特急が日本初の「フリーゲージ・トレイン」になったとしても、その後に長期にわたる改良が必要になるはず。そういう意味では、京都-吉野間の特急に「フリーゲージ・トレイン」を使用するのは丁度良い。

 

2020.09.16