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サウジアラビアの高速鉄道その1~サウジアラビアをタルゴが走る~

2016年09月10日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

鉄道ジャーナル誌を見ていたら、久しぶりに「タルゴ Talgo」という名前を見て、懐かしかったなあ。なにしろ、「タルゴ」という言葉を初めて聞いたのは、中学か高校のころだったと思います。「タルゴ」と言うのは、スペインの車両製造会社の名前で、かつその会社が作る特徴のある高速列車の名前だからです。

 

ヨーロッパやその技術を導入した韓国の高速鉄道は、両端に電気機関車があり、その間に客車が何両か繋がっています。(最近は、動力分散タイプ(要は電車)もあるようです) 「タルゴ」は、両端に電気機関車があり、その間に客車が何両か繋がっているのは同じですが、客車の台車に特徴がある。

それは、客車の連結器のある部分に台車があること。こういう台車を日本では「連節台車」とか「連接台車」と言い、急カーブの線路を通過しやすい特徴があります。京阪電鉄の「びわこ号」や小田急の一部の特急で使われていましたが、現在では江ノ電の一部などに残っているだけのレアな存在です。しかし海外では、フランスのアルストム社製のTGVが「連節台車」を使っていたりして、日本よりは多いようです。

 

ただし、これらの連節台車は2軸で車輪は左右に4個ですが、「タルゴ」の連節台車は1軸で車輪は左右の2個、かつ左右の車輪は車軸で繋がっておらず、左右の車輪は独立で自由に動くので、よりカーブを曲がり易い特性を持っています。こんな台車は他には無い(と思う)。しかし、このような客車は車輪が少ないので、相当軽く作る必要がある。

 

話が横にそれて申し訳ないですが、タルゴ社は軌間可変台車(線路の幅に合わせて、車輪の間隔を自動的に変えることができて、幅の異なる線路を行き来できる台車。フリーゲージ・トレイン)の技術でも有名です。日本はこの技術を未だ実用化できていない

 

その「タルゴ」が、サウジアラビアに新しく敷設された「ハラマイン高速鉄道」の線路で、試運転をしている画像がユーチューブで見ることができます。この試運転列車は、両端が機関車で、その間に短い客車が13両。客車にはドアが片方に1か所しかなく、座席は2+1の3列。(「ハラマイン高速鉄道」は次回に説明します)

 

①タルゴの外観が見られます。約1分。(2015年6月に公開)

https://www.youtube.com/watch?v=AV_fa3deI8o

 

②タルゴが砂漠の中を走行しています。約14分。(2016年5月に公開)

https://www.youtube.com/watch?v=LCl3LJ2QWj4

 

③「ハラマイン高速鉄道」の駅やタルゴの車内が見られます。一番最後に、路線図が出ます。

https://www.youtube.com/watch?v=yz0SrCRlMsc

 

(いつまで見られるかわからないので、早めにご覧ください。リンクが無い時はHaramain、Talgoで検索してください)

 

②の動画では、架線が張られた複線の線路の周囲は、ほぼ平地で茶色い砂漠のようです。線路は地面より50㌢メートル~1メートル程度高い位置に敷設されていて、バラストの上にコンクリート製の枕木が見え、普通の線路のようです。

 

「タルゴ」はスムーズに動き出し、直線の線路をしばらく走って、ゆっくり停止します。慣らし運転中のようで、高速運転では無いようです。ところどころに50㌢メートル~2メートル程度の石垣や50㌢メートルの高さのコンクリートの壁がありますが、砂漠から細かい砂や土が飛んで線路上に堆積するのを防ぐ対策は見当たりません。飛んでくる砂は、線路だけでなく架線や機関車などにも悪影響を与えるはずですが。

 

ところで、サウジアラビアでは「タルゴ」である必然性は無いように思いますが、ハラマイン高速鉄道の線路をみると、意外と直線は少なく、細かいカーブがいくつもあって「タルゴ」も必要なのかな?と思いました。別のビデオでは、線路のそばに200メートル程度(と推測する)の高さの山も見え、砂漠と言えどもこの付近は山などの高低差があるようです。線路はこういう障害物を避けているのでしょうが、それにしてもカーブが多いように見えます。

 

続きがあります。次回は「「ハラマイン高速鉄道」は開業を延期」です。

 

2016.09.10


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