- 中国商人の幻影
以前に書いたことがあるけど、昔読んだ中国人商人が出て来る小説。時は戦前か戦中、その中国人商人は日本に住んでいたか、滞在していた設定。その小説の中では中国人商人は約束に忠実で、口約束であっても約束を破らないという話が商人としての矜持として出ていた。ところが、今の中国人商人は約束を文章にしても、簡単に破るとか。昔の中国人はちゃんと約束を守ったとすると、今のようになったのは共産党のせい? それとも、「口約束であっても約束を破らない」のは、その小説を書いた日本人作家の思い込み?
- 日本人が期待している中国崩壊はいつか?
日本人の8割くらいは、中国が崩壊することを期待しているし、将来(将来とは何時なのかを予想することは難しい)崩壊すると思っている(私の推測です)。なぜなら、いつまでも龍のように上り調子でいられるはずは無いのは不変的な法則だから。
数年前は、直ぐにでも中国が崩壊するという記事が沢山出ていたが、そうは問屋が卸さない。中国もそうならないように必死で対策を考えて実行するので、そう簡単に崩壊しない。
そんな中国でも、最近againstのそよ風が吹いているような? その例をいくつか列挙します。それで直ぐに崩壊するわけではないが、今までと状況が少し変わって来たように感じる。市場経済をやっている限り、景気の変動は避けられない。
①習近平の独裁への不満
これはいくつかのメディアが書いています。個人崇拝を長老から批判されたとか、アメリカとの貿易摩擦の対応のまずさを批判されたとかの推測記事が出ていますが、本当のところはわからない。これくらいで習近平が失脚することは無いと思うが、最近の発言がおとなしいような気がする。と言っても、やることはやっている。
②アメリカとの技術摩擦
これは、貿易摩擦よりも根深い問題です。中国は2030年にはAIの分野で世界No.1の国になろうと公表しているので、現在No.1の国が警戒しない訳がない。
今後、アメリカも欧州も中国への技術流出は警戒するので、今までのように容易に技術を中国へ移転できない。したがって、従来路線では行き詰る。
中国は他国から合法的に技術を導入したり、非合法的に技術を盗んだりする癖がついている。それが当たり前なので、独自技術を生み出す動機が無くなる。「そんな技術、アメリカや日本から取ってくる方が速いし、金がかからない」と言われれば、独自技術を開発する気が失せる。中国がトップダウンで独自技術の開発に取り掛かっても、成果が出るのはかなり先になるだろうな。
③P2P金融の破綻の不満
P2Pとは、個人の貸し手と借り手をネットで結びつけるネット金融。中国ではP2Pの倒産が多く、社会不安になる可能性が指摘されていた。倒産すると、個人の貸し手には金は戻って来ないので、貸し手は当然不満を持つ。しかし中国当局の管理強化で、P2P倒産の峠は越えたとみられるので、今後は収まる方向という指摘もあり、どうなるのか?
④高速鉄道は、大半が赤字では?
リーマンショック後に、景気を刺激するための公共事業として高速鉄道を沢山作った。しかし、中国の高速鉄道の運賃は安いので、北京や上海を発着する幹線は列車の本数や乗客も多く黒字かもしれないが、地方都市への路線は列車の本数も少なく、赤字が予想される。
昔の日本の国鉄のように、赤字路線が増えると、黒字路線の利益で補えず、そのうち行き詰る。しかも景気対策のために、今後も高速鉄道を作ると報道されている。これら今後作る路線はさらに乗客が少ないので、赤字の増加が予想される。これに中国はどこまで耐えられるか?
⑤海外投資はペイしているのか?
一帯一路といい、アフリカといい、中国経済圏の勢力拡大の意図があると言われているし、中国国内の余剰生産のはけ口と言う人もいます。
中国は、一帯一路周辺やアフリカなど海外に投資しているが、投資した資金が回収できなくなるとそのうち行き詰る。もっとも、戦略的に投資している採算度外視の案件もあるが、中国が耐えられる範囲で投資しているのかどうか? 相手が払えなくなって投資先の資産を没収しても、直ぐに投資した資金を回収できないので、いずれ金が回らなくなる。
⑥解放軍の不満
いくつかの事例が報道されています。ただし、人民解放軍内部の不満の程度はうかがい知れません。
・現役の不満
習近平は、軍の近代化を図るために解放軍がビジネスすることを禁止した。軍ビジネスは、軍の一部が私腹を肥やしている面もあるが、軍の厚生面を支えているという指摘もあり、それが無くなることへの不満が溜まっていると言われている。
しかし、軍ビジネスの禁止といっても、どの程度の禁止なのか、それがどの程度徹底されているのか、わからないので、その影響はわからない。
・退役軍人の処遇の不満
これも時々報道されています。退役軍人の経済面が厳しいので、各地でデモが起きているとか。しかし、退役軍人が政府を倒すことは無い。
⑦地方政府の債務
中央政府とは別に、地方政府も多額の債務を抱えているとか? これも昔から言われており、最近もメディアに時々載りますが実態はわからない。
⑧民間会社が傾いた
・安邦保険を政府の管理下に
安邦保険は、2014年にニューヨークのウォルドーフ・アストリア・ホテルを買収。
鄧小平の孫娘と結婚した創業者の呉会長は、詐欺罪で訴追された。
・大連万達、資産売却1兆円
ホテルとテーマパークの大半を売却して借入金を返すことになった。
・海航集団のNo.2がフランスで事故死
2018年7月3日、海航集団のNo.2が写真撮影中に15mの高さから落下し死亡。海航集団は資金繰りが悪化し経営再建中で、海外で買収した資産の売却を急いでいた。
・京東集団CEOがアメリカで女性に性的暴行を加えた容疑で一時拘束された。
現在は中国に帰国。
こうした不祥事は、中国経済をけん引してきた国有企業や有力者と繋がる民間企業の経営が緩んできた証拠のように思える。
(結論)
このような不満や不祥事があっても、国が上り調子の時は国がひっくり返ることは無い。しかし、旧ソ連のように、国勢が下がり気味になって来るとひっくり返る可能性もある。
中国がいつまでも上り調子ではありえないし、今までの膿がそろそろ出て来るので、今後もゴタゴタする。しかし中国政府も対策をとるので、中国の崩壊はしばらく(10年?)は無いと思う。むしろ、日本の方が先にひっくり返る可能性だってある。そうなら、どうしようもない。
2018.09.25