秋の色が日に日に濃くなっていく棚田 実るほどこうべを垂れる、刈り取り前の稲穂
9月半ば。日差しの下では、まだあの夏の暑さを思わせるが、ひとたび日差しをよけると涼やかな秋の風が首筋を撫でる。心地いい季節である。
中でも、家からものの10分も車で走り、農免道路に入るとそこには秋の色が広がり、秋の風が優しく迎えてくれる。決して有名ではないが、先人の開拓した棚田が広がり、今を盛りの黄金色が静かに波を打っている。
農家の主婦がコンバインを操り、実った稲の刈り取りに余念がない。声をかけようかと思ったが、刈り取った稲が順調に運ばれていくかどうか、下を向いて黙々とチェックを入れる姿にはついに言葉が出せなかった。見事な手綱さばきならぬ、見事なハンドルさばきである。
黄金色の稲。刈り取るコンバインの音。まさに秋を象徴する色そして音である。
何年か前までは、農家の後継ぎとなった同級生のお手伝いと称して、稲刈りの真似事に精を出したものである。
その彼も、自らの体調不良もあり、生産したコメの価格を叩かれて採算に疑問を生じたり、後継者はいない、など色んな理由で今は手伝いがいるほどのコメ作りは辞めてしまった。家の近くのごく狭い田んぼで、自分たちの食べ量だけを作っている。
稲刈りのお手伝いとは。おおむね四角い田んぼの四隅2m四方を手で稲を刈取っておく。そうすると、コンバインが回転するスペースができるし、四隅の稲を無駄にしなくて済む。こういった作業を彼一人でやるのは大変な労力と手間がかかる。もちろん年齢も加わって手作業が億劫になる。そんな状況のもとに、自分でも田んぼを作るベテランと、素人の小生二人が手伝ってきたのだ。そんなことも今は昔。
ところで、秋の色と言えば「白」である。白秋という。でも小生個人的には秋の色はどうしても黄金色である。如何でしょうご同輩。