とうとうこの日がやってきた。
ピーク879まで前日に歩けるようにしておき、栃ノ木峠から入り音波山を経て下谷山へ立ち、南尾根を下って879ヘ抜け出て半明へ下山する。
このブナ林で覆われた淀川水源の森をめぐるコースを一日で歩き通すことができたのだ。
この区間が中央分水嶺・余呉トレイルの核心部であり、これによって余呉湖・行市山からこのブナ原生林までか細いながらもひとすじの道としてつながった。
今回歩き通した区間は、中河内で聞く山の暮らしの舞台のひとつである大音波谷の流域にあたり、南尾根のブナ林にはケモノ道があって思いのほかスムーズに通り抜けることができた。
ピーク971下谷山の先の上谷山から三国岳への中央分水嶺は、戦後の伐採、拡大造林によって猛烈な藪に覆われた尾根となり、湖北に伝えられる夜叉ケ池信仰の舞台へは奥川並から奥美濃への古道をたどって左千方鳥首峠から進むが、これらは登山のエキスパートの領域であり慎重に入山する必要がある。
人ひとりが通ることができる必要最小限の道の整備により流域に住むだれもが改めてその素晴らしさを知ることができ、人任せではなく地元の手で次の世代や下流域の人へ山に生きた先人のことや残してくれた自然を伝えてゆくことが可能となる、と余呉トレイルクラブは考えている。
出会いのトレイルに興味のある方はぜひご連絡を、一緒に歩きましょう。