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ルームメイト 今邑彩

最近「今邑彩」という作家の本を本屋さんで良く見るようになった。よく行く本屋さんでは、作者の本を平積みにしてPOPを掲げていた。かなり昔に活躍したミステリー作家が最近のリバイバルブームで再評価されつつあるということらしいが、詳しいことはよく良く判らない。読んでみた感想としては、大変良くできたミステリーで、難しい設定を最後まで破綻なく物語として構築し終えているという印象を持った。1つ1つ、事件のほつれた糸が解かれていく様は、まさにミステリーの醍醐味だ。時間と場所を行き来させるような最近の凝った作りのミステリーにはないストレートな構成には大変好感が持てる。また最後のどんでん返しのどんでん返しの部分について、作者自身が「いやミス」と言っているが、もっと「いやな結末」が闊歩している最近の基準からすれば、それもかなりほほえましい。ただ1つ苦言を言うならば、細かい部分部分をみると特に不自然なところはないのだが、全体を通して考えると、何だか現実と乖離してしまっているような印象を持たざるを得ない部分がある気がする。(「ルームメイト」今邑彩、中公文庫)
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テリー・オライリー スティック NHL  

NHLの名門ボストン・ブルーインズの元キャプテン、テリー・オライリーのスティックをあしらったコレクティブル。1971年にNHLデビュー後、85年に引退するまで一貫してブルーインズでプレーした典型的なフランチャイズ・プレーヤーだ。私はこのコレクティブルを入手するまで彼の名前を知らなかったのだが、地元を中心に絶大な人気を誇っていたようで、彼の背番号「24」は現在ブルーインズの永久欠番になっている。直接見たわけではないが、彼のプレー・スタイルはいわゆる「ラフ・プレー」だったらしい。彼の活躍した時期は70~80年代だが、華麗なスケーティングとパスを誇るグレツキーの登場は79年だ。グレツキーの登場で、アイスホッケーが徐々に変わっていったとはいえ、当時のNHLは、基本的には荒くれ者のラフなプレーを見て楽しむものだったのだろう。その頃ようやく安全のためにヘルメットをつけることが義務付けられたものの、ヘルメットなしでプレーして気概を見せることが喝采を浴びていたという。彼は、そうした時代のヒーローだったのではないかと思われる。
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フランク・セルピコ 洋服 NY警察

アル・パチーノ主演の映画「セルピコ」の主人公のモデルとなった実在の人物フランク・セルピコのコレクティブル。映画はニューヨーク警察の汚職や不正を自らの体を賭して戦った1人の警察官の話で、主演のアル・パチーノがゴールデン・クラブ賞主演男優賞を受賞するなど、当時かなり話題になった作品だ。この映画が実話を基にしていることは有名な話だが、いくら彼が英雄視される有名人とはいえ、その本人のコレクティブルが作られるというのはどうなのだろうか。あしらわれた彼の洋服は、いかにもフラワー・ジェネレーションのアメリカ人が好んだような「花柄」で面白い。
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ルリボシカミキリの青 福岡伸一

エッセイ風の短文が数多く収められた本書は、普通のエッセイとして読んでももちろん面白いのだが、彼の文章のファンにとってはそれ以上の価値がある。1つ1つのエピソードが、生物というもの、あるいは生物学というものを深く考えさせる内容になっているし、特に、本書を読むと、著者の「動的均衡」という考え方がより深く多面的に見えてくるような気がしてくる。この本を読むことによって、これまでに読んだ彼の本によって知ることとなった彼の考え方が今まで以上にはっきり伝わってくる。彼独特のリリカルな文体も健在で、とにかく彼の本を読んでいるとめっぽう楽しい。変な話だが、彼の文章ならば、生物学の本でなくても、例えば書評とか何でもいいから、次の本を早く読みたいという気になる。要するに彼のファンは、生物学者である彼から何かを学びたいとか、生物学が面白いとかだけで読んでいるのでない。彼の人柄とか文体が好きで、とにかく純粋に彼の文章を読んでいたいのだと思う。なお、重さの違う球の落下スピードに関する思考実験の話は、本書で初めて知って、「なるほど」と感心した。著者がTVの「ようこそ先輩」で行った授業の話は、彼の「動的均衡」の考え方を知るための最高の短文だと思う。(「ルリボシカミキリの青」福岡伸一、文芸春秋社)
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グレツキー ナショナル 1998 NHL

これは、1998年にカナダで開催された「ナショナル」というカード・コレクターの世界大会の記念カードである。その世界大会の会場に入場し、ある特定の商品を買った人にだけ配られる特殊なもので、写真の左下のところに金色でそのことを示すインボイスが刻印されている。もちろん配られる時は、誰のカードか判らないようになっていて、お目当ての選手をもらえる確率は1%もない。このグレツキーのカードは正に「当たり」なのだ。オフィシャルなプライスガイドにも掲載されていないアイテムなので、どのくらいの価値があるものかは判らない。このカードは、私の記憶では10枚しか作られなかったレアなものなのだが、そもそもこうしたものまで集めようという需要が少ないので、思ったよりは手に入り易いように思われる。
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印象派の誕生 吉川節子

 印象派に関する本は随分読んできたが、本書を読んで、こういう本があったら良いと思っていた理想をある部分実現してくれている最初の本に出会った気がした。絵画論を読んでよく思うのは、絵画に関する本というものはもっと絵そのものに依拠したものであるべきだということだ。実物の絵を目の前にして語ってもらうのが理想だがそれは難しい。そうであれば少なくとも、文章で語った部分はちゃんと口絵か挿図で見せて欲しい。これまでに読んだ絵画論の本の多くはその点が不満だった。本書はその点で、これまでに読んだどの本よりも読者への配慮が行き届いていた。読者の理解の助けになるのであれば同じ絵を2回挿入することも厭わず、同じ絵でも一部分を語っている時にはその部分のアップを改めてみせてくれるといった具合で、大変親切なのだ。その結果として、論旨は明確で説得力もあるし、いくつかの点で面白い発見もできた。例えば、マネの「鉄道」「バルコニー」に垣間見られる「近代化による人間関係の希薄化」というマネの特徴にはなるほどと思わせられたし、「印象派とは何か」という問いに自分なりの整理もかなりついたように思う。こういう、読者にとことん親切な本がもっと出てきて欲しい。(「印象派の誕生」吉川節子、中公新書)
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もし高校野球の‥ 岩崎夏海

今ベストセラーになっている本書。題名が語るとおり、高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を「女子マネージャー」の指南書と勘違いして読みだすところから始まり、それを自分なりに解釈しながら、弱小野球部を甲子園に導いていくというストーリーだ。ドラッカーといえば、30年以上前の話になるが、大学のゼミで「見えざる革命」等、彼の本を数冊を読んだ頃の事が思い出される。そのゼミの先生は現在では経営学の大家と呼ばれているが、当時は新進気鋭の若い経営学者だった。その先生がドラッカーの革新性について熱く語っておられたのが懐かしい。私が大学生だった頃が、晩年に差し掛かっていたとはいえ、まさにドラッカーが現在進行形で活躍していた時期で、彼の本は、刊行されたばかりの最新刊だった。この本で取り上げられている「マネジメント」もまさにそうした中の1冊だった。読んだといっても、何が有難いのか全く理解できなかったし、情けないことだがほとんど記憶にも残っておらず、私にとっては遠い過去にかすんだような本だが、本書を読み終えた今、「今それを読み返してみたら自分はどう読むのだろうか」「少しは何か感じることがあるのだろうか」という思いが募る。我々の少し上の世代である団塊の世代にとっても、自分が若かった頃、上司が読みふけっていた経営のカリスマの本にもう一度出会ったような郷愁があるのだろう。昔むかしに、ドラッカーの「マネジメント」を読んだ人が、もう一度それに会いたくて手にしている、それがこの本をベストセラーにしているのではないかと思われる。(「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎夏海、ダイヤモンド社)
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グレツキー&リーチ パック NHL

グレツキーの90年代後半のNYレンジャースへの移籍は、すでに紹介したように、かつての盟友メシエとの再会という意味で歴史的出来事だった。伝説的なグレツキーとメシエのコンビをもう一度この目でみられるという思いがNHLファンを熱狂させた。さらに、グレツキーのNY移籍は、もちろん意図されたものではないが、アメリカ最大の都市NYの関心をNHLに向けさせるというNHLのマーケティング戦略上も画期的な意味合いを合わせ持っていた。グレツキーがロサンジェルスに移籍したときに、アメリカ全体がNHLに熱狂したのと同様、グレツキーのNY移籍はアメリカでのNHL人気の定着を確認する一大イベントだった。そしてさらに、もうひとつ、私自身が当時思ったのは、NYレンジャースというチームがこれからどうなるのかということだった。当時、レンジャースには、ブライアン・リーチという現役最高のディフェンスマンという評価の高かった選手がいた。それにキャプテンは当代最高のキャプテンと言われたメシエ、更にはマイク・リクターという名ゴールキーパーがいた。そこに、全盛期は過ぎたとはいえ、相変わらず傑出したプレーをみせていたグレツキーの移籍。当然ながらどのようなチームができるのかという期待が高まったのである。ここで紹介しているカードは、左右にリーチとグレツキーというディフェンス・オフェンスの両雄の写真、中央にNHLの試合で使用されたパックを配したクレクティブルである。この両雄の出会いが何をもたらしてくれるのか、そうした期待が溢れたような1枚である。結果的に「マンハッタン計画」とも呼ばれたこのスター軍団は、大きな成果を残すことなく瓦解していく。この1枚にそれを暗示するようなものは何もない。コレクターはこうした1枚を眺めながら、そうした歴史に思いをよせるのである。
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グレツキー POG NHL

これも私のグレツキー・コレクションの1つ。アメリカDでは「POG」と呼ばれているコレクターアイテムの一種だ。材質は厚い紙で、ちょうど日本のメンコのような大きさ、形をしている。ここには4枚しか写していないが、実際は20種類近くある。POGと呼ばれていると書いたが、これが何なのか、そもそもどのように使うのか、あるいは使わずにただ集めるだけのものなのか、私にはよく判らない。メンコに似ていると書いたが、メンコのように使うのかもしれない。あるいは、昔小学生の頃に「牛乳瓶のふた」を集めるのが流行ったが、ちょうど形も大きさも似ているので、そうしたものなのかも知れない。これも、正式なクレクター雑誌には載っていないアイテムなので、私が持っているもので全てなのか、もっと種類があるその一部なのかも判らない。ただし、小さい割には印刷も丁寧で、金箔等が使われていて、非常に美しい。
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グレツキー 1982 TOPPS NHL

これもグレツキーのオイラーズ時代のコレクティブルである。製造元はTOPPS社という正式なカード製作会社だが、当時、年に1度製造されていたものとは違うバージョンのグレツキーだけの特殊なシールだ。全体的に縦と横の長さが少し小さめで、縦横の長さの割合が通常のカードと少し違っているが、このシールの最大の特徴は4種類のシールがワンセットなっていて、それらを全部集めないと1枚の写真が出来上がらないことだ。コレクターの心理を利用して、あと2枚、あと1枚と集めたくなるように工夫されている。入手したいセットがあってもあと1枚がなかなか入手できないというのは良くあることだ。手っ取り早いのは誰かが集めたセットを一度に入手する方法で、これもそうして入手した。そもそもこれがどこでどのように売り出され、配布されたものなのか、私にはそうした情報がないのでわからない。公式なオイラーズ時代のカードを全部集め終えても、見たことがないものを見つけると入手したくなる。かくしてコレクションは終わらない。
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グレツキー マクドナルド 1983 NHL

グレツキーのオイラーズ時代のカードをコンプリートしたと言っても、それは公式のプライスガイドに掲載されているカードを全て集めたということであり、実際には、何かの催しだけのために作られた非公式のカードなども、かなり存在する。なかには、本人の承諾なしに作られた海賊版や、有名なカードの偽造品などもある。コンプリートを果たした後は、公式カードを全部集めるほどの熱心さはなくなったものの、そうした非公式のカードの存在を知ると、やはりそれを欲しくなる。このカードは、そうした非公式カードの中の1枚である。マクドナルドのおまけだということはわかっているが、どのように配布されたのかなどはよくわからないし、オフィシャルなガイドブックに載っていないアイテムなので、製造枚数とか、どのくらいの値段で取引されているかなども判らない。
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エアライン敗戦 杉浦一機

先日読んだ「JAL崩壊」は内輪もの・暴露本だったが、この本は、世界の航空産業事情や日本の航空政策をオーソドックスに描いた解説本だ。話の中心は、世界の航空産業の勝ち組になりつつあるLCCと呼ばれる格安航空会社のビジネスモデルとはどのようなものか、それが日本に定着する可能性はあるのか、LCCの台頭とJALの崩壊がどのようにリンクしているのか、日本の航空産業に未来はあるか、といった問題を取り上げ、判り易く解説してくれている。途中でLCCと日本の航空会社のコスト構造の違いなどがグラフで示されているが、このグラフこそ、100のJALの内輪話を読むよりも雄弁にJALの破綻の理由を方っているように思われる。もう一つこの本を読んで判ることは、日本の航空産業の危機の原因を日本の航空政策の失敗ということで簡単には片付けられないということだ。結果的に失敗だったことは確かだが、日本航空政策もその時々の事情でやむを得ない部分があったこともよく判る。どこでボタンを掛け違えたのか、これからの教訓としては、それを解明することが大切なのだろう。(「エアライン敗戦」杉浦一機、中央公論新社)
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