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もし高校野球の‥ 岩崎夏海

今ベストセラーになっている本書。題名が語るとおり、高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を「女子マネージャー」の指南書と勘違いして読みだすところから始まり、それを自分なりに解釈しながら、弱小野球部を甲子園に導いていくというストーリーだ。ドラッカーといえば、30年以上前の話になるが、大学のゼミで「見えざる革命」等、彼の本を数冊を読んだ頃の事が思い出される。そのゼミの先生は現在では経営学の大家と呼ばれているが、当時は新進気鋭の若い経営学者だった。その先生がドラッカーの革新性について熱く語っておられたのが懐かしい。私が大学生だった頃が、晩年に差し掛かっていたとはいえ、まさにドラッカーが現在進行形で活躍していた時期で、彼の本は、刊行されたばかりの最新刊だった。この本で取り上げられている「マネジメント」もまさにそうした中の1冊だった。読んだといっても、何が有難いのか全く理解できなかったし、情けないことだがほとんど記憶にも残っておらず、私にとっては遠い過去にかすんだような本だが、本書を読み終えた今、「今それを読み返してみたら自分はどう読むのだろうか」「少しは何か感じることがあるのだろうか」という思いが募る。我々の少し上の世代である団塊の世代にとっても、自分が若かった頃、上司が読みふけっていた経営のカリスマの本にもう一度出会ったような郷愁があるのだろう。昔むかしに、ドラッカーの「マネジメント」を読んだ人が、もう一度それに会いたくて手にしている、それがこの本をベストセラーにしているのではないかと思われる。(「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎夏海、ダイヤモンド社)
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