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歴史の普通ってなんですか? パオロ・マッツァリーノ

日本において昔から存在する保育園に対する批判的な意見、かつての学校での長髪禁止などを題材にして、日本の世論や伝統と呼ばれるものについて考察した本書。一言で言えば、日本の伝統と言われるものの多くは、根拠のない情緒的な勘違いで、どちらかというと少し長めの流行に過ぎないという。著者はこれらの主張を明治大正期の新聞雑誌の記事や投書を使って丹念に論証していく。確かに、本書で紹介されている「28年も続く伝統行事」といった変な表現を、普段あまり意識せずに読み過ごしてしまっている。伝統という言葉の安売りに対して最も厳しくあるべき年配者が、そうした言葉のレトリックに加担しているなぁと。大いに反省させられた。(「歴史の普通ってなんですか?」 パオロ・マッツァリーノ、ベスト新書)

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