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ジェシカが駆け抜けた七年間について  歌野晶午

この作品のことは、他の本をネット検索していて、「この本を検索した人はこの本も検索しています」というところで知った。要するに、私の趣味に合っていると検索エンジンが判断してくれた作品ということになる。これもネット社会ならではの「未知の本との出会い方」の1つだ。本書を読み始めてすぐに感じたことは、この作品がミステリーなのかそうでないのかという点だ。話の途中で殺人事件が発生するが、正統的なミステリーにしてはどうも記述がおかしい。全く新しいビックリするようなアリバイ崩しの話なのか、それとも最近流行の「叙述ミステリー」なのか、あるいは不思議な現象が解明されないままに終わる単なる超常現象の話なのか、そのあたりを注意しながら読み進める。読み進めるといっても、殺人事件が発生してからあともう100ページくらいしか残っていないし、やっぱり謎が謎のままで終わるのかと思っていたら、最後にびっくりするような結末が待っていた。ところどころを読み返してみたが、確かに辻褄は合っている。簡単な仕掛けだが、練りに練られた構成には納得した。(「ジェシカが駆け抜けた七年間について」  歌野晶午、角川文庫)

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