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STAP細胞はなぜ潰されたのか 渋谷一郎
小保方さんの手記を読んで、「須田記者の反論を期待したい」と書いたが、それより先に小保方さんを擁護する側の1冊の方が先に出てしまったようだ。本書を読んで、須田記者の本が理研の調査結果を待たずに発刊された理由などがよく判ったし、それ以外にも色々な情報を得ることができたような気がする。STAP細胞の検証には「STAP細胞の生成」「STAP幹細胞の生成」「キメラマウス」という3段階があり、小保方さんが携わったのはあくまで第一段階の「STAP細胞の生成」であり、その後の2段階は「若山教授」の担当だったこと、理研の検証では小保方さんの担当した第一段階はやや結果の数字は異なるが確かにSTAP様細胞が生成されたということなど、小保方さんの手記の主張通りのことが明らかになっているということなどが書かれており、やはり小保方さんを事件の主犯とする須田記者の本の内容やNHKの番組、その他のメディアの扱いの不当さが強く印象づけられる内容だ。日本側の関係者が全てSTAP細胞に関する特許申請を取り下げたにも関わらずハーバード大学のみが申請を取り下げていないという話や、つい最近になって新たなSTAP細胞の存在を裏付ける別の研究者の論文が発表されたことなども紹介されており、ますます小保方さんの主張の正しさを思わせる事態になっているらしい。本書では新たに研究者としての小保方さんを葬ろうとする2人の女性研究者の存在も指摘されており、事態はますます混迷の度合いを増しているようだ。時系列的にみると、須田記者の著書、小保方さんの手記、本書という順番で書かれており、今のところ2冊続けて小保方さん側の本を読んだことになる。この段階では、若山教授が諸悪の根源、それを見抜けない功名を焦った女性記者、事件の周辺で小保方さんへの嫉妬をむき出しにする2人の女性研究者という構図が見えてくる。この事件、メディアとしても終わったことにせず、詳しい続報を期待したいし、何よりも公平を期すためにも「反小保方さん」サイドの本の刊行を是非期待したい。(「STAP細胞はなぜ潰されたのか」 渋谷一郎、ビジネス社)