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ボランティアバスで行こう 友井羊

1台の東日本大震災被害地へのボランティアバスに参加した人たちの色々な人生模様が描かれた連作集。様々な参加の動機、現地での被災者との様々な交流が丁寧に語られている。内容は、題名から想像できる範囲のものだが、却って奇をてらったところがなくて好感が持てる。それぞれの話のなかに小さな謎解きの要素があったり、最後の章にあっと驚く大どんでん返しがあったりで、ミステリーの要素も楽しめる。こんなどんでん返しが必要なのかと思わずにはいられないが、第1話と第2話を結ぶためにどうしても必要だったと考えれば納得がいく。本書はこうしたミステリー色がなくても良い気がするし、震災を真正面から扱った小説としても出色の一冊だと思う。震災を経験し、それぞれが「自分に何ができるだろうか」と痛切に自問自答してから四年たった今、改めてもう一度おなじ問い合わせを自分にしなければいけないなぁと感じた。(「ボランティアバスで行こう」 友井羊、宝島社文庫)

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