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邪悪な少女たち アレックス・マーウッド

題名もそうだし、書評などを読んでもまさに典型的な「いやミス」という感じだが、読んでみると、そうでもない。結末はハッピーエンドではないが、何よりも世間とかマスコミに翻弄される主人公達をみていると恐ろしいのは「正体不明」のものではないことが歴然としているし、最後にはほのかな希望のようなものの見える気がする。邪悪なのは、少女たちではなく、その周りの人たちや社会の構造のようなものであることは明らかだ。それにしても、本書はサスペンスとして見ても超一級の作品だと思う。昔と今の話を交互に語る構成はありふれた手法だが、それと語り手の視点をうまく交代させながらの切り替えの妙に、ストーリー以上にはらはらどきどきさせられた。(「邪悪な少女たち」  アレックス・マーウッド、ハヤカワ文庫)

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