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県庁おもてなし課 有川浩

主人公が仕事を通して成長していく姿を描く典型的なお仕事小説。著者の出身地である高知県を舞台に、観光立県を目指す地域の人々の奮闘振りが楽しい小説になっていて、知らないうちに地域における観光産業のあり方を考えさせられる仕組みになっている。観光を地域振興の切り札にするという根本的な考え方には個人的に反論をしたい気もするし、アウトドアの苦手なものとしては賛同しかねる部分も多いが、作品全体から、そうした意見の違いを超えた共感を感じる。こうした職業小説にお決まりの主人公の恋愛が絡んだストーリーには少し食傷気味だが、本書の場合はそれもさほどうるさく感じない。それよりも、小説家として現実の社会にどう関わっていくかという問題に対す著者のスタンスには頭が下がる思いだ。(「県庁おもてなし課」 有川浩、角川書店)

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