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幻想郵便局 堀川アサコ

本屋さんで、本書の表紙を見かけて、何となく良さそうな気がしたので読んでみたのだが、結論から言うと、私自身は、最後まで、この小説の世界に馴染めず、感情移入したり物語に入り込んだりが出来なかった。この話の中では幽霊、怨霊、生きているのか死んでいるのか判らない人々が跋扈するのだが、こうした怪奇小説の場合、幽霊を信じるかどうかというのとは違う次元で、その世界に入り込めるかどうかという大きな問題がある。どんなに荒唐無稽でも入り込めることはあるし、逆にどんなにもっともらしくても入り込めないことがある。本書の場合は、主人公が怪奇現象を信じていないようでいて、いとも簡単にそれを受け入れてしまったりなのだが、そうしたことも不思議な世界の側の存在に全てコントロールされていると言われても、はいそうですかとはなかなか言えない。だんだんストーリーだけを追う読書になってしまい、ミステリーの部分はそれなりにうまく出来ているような感じもしたが、結局満足できないまま終わってしまった。(「幻想郵便局」 堀川アサコ、講談社文庫)

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