goo

真夜中のパン屋さん3 大沼紀子

これも何となく読み始めてしまったシリーズ本。登場人物の面々の「訳あり」度がちょっと不自然な感じもするが、その分話の奇想天外さは捨てがたい面白さがある。また、その不自然さにもかかわらず、上手く「あるかもしれない」と思わせているのが、「真夜中しか開店していない店」という設定だ。それが不自然だと言ってしまってはそれまでだが、真夜中の世の中ならば、このくらい変わった人たちが蠢いていても不思議ではないかも、という感じが微妙にバランスを維持している理由かもしれない。それがなければ、読者も着いてこれないだろう。色々な話が進む中で、登場人物の謎も少しずつ語られていく手法も上手く出来ている。色々良い点はあるが、このシリーズの最大の良さは、パン屋さんでパンを買う楽しさが増したことだと思う。(「真夜中のパン屋さん3」 大沼紀子、ポプラ文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )