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透明人間の納屋 島田荘司

かなり荒唐無稽な話なので、いったいどのようにして収束するのか、読んでいて全く見当がつかなかった。謎解きの伏線のような記述がそこかしこにあるので単純な怪奇小説ではなさそうだし、本格的な巧妙なトリックが用意されているのにしては謎が単純すぎる。結局最後には、予想しなかったような展開になり、ミステリーというジャンルを微妙に逸脱したような結末になるのだが、これはやはり掟破りだろうと思う反面、その斬新さはある意味すごいと思う。確か、大昔に読んだミステリーの20の掟の中に「超能力者を登場させてはならない」というのがあったし、「東洋人を登場させてはいけない」というおかしな掟があったという記憶があるが、それを現代に当てはめてみると、本書の謎解きは、新しい「禁じ手」という感じがする。(「透明人間の納屋」 島田荘司、講談社文庫)

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