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笑うフェルメールと微笑むモナリザ 元木幸一

2012年10月11日 | 読んだ本

この本の良いところはとにかく図版が充実していることだ。本文で言及されている絵はほぼ全て図版で確かめることが出来るし、図版が小さくて確認しにくいところは拡大図まで付いているという親切ぶり。内容も、肖像画の歴史からみた描かれた人の顔に表情が付けられた理由、宗教画における顔の表情の意味など、非常に面白くてためになる記述が満載だ。いろいろ語りつくされた感のある、フェルメールとモナリザだが、こうした見方があったのかと気づかせてくれる。それでいて、単に「違う視点で観たら?」というだけに終わらない、絵画作品に対する深い洞察も見事だと思う。中には、「これって、本当に笑っているの?」と突っ込みたくなる部分もあるが、広い意味での「表情」と考えれば、作者の考察には全面的に肯首したくなる。(「笑うフェルメールと微笑むモナリザ」 元木幸一、小学館101ビジュアル新書)