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アウンサンスーチー 根元敬

アウンサンスーチー女史の人物像、ミャンマーという国の歴史を知るのに役立った1冊。内容は2部構成で、第1部は、アウンサンスーチー女史とミャンマーについての概略、後半の第2部はがらりと変わって「日本に住むミャンマー人」の話。役に立つという意味では第1部だろうが、軽い読み物という感じの第2部もなかなか貴重な証言集という趣で面白い。ただ気になるのは「ミャンマー」という国名を使わず「ビルマ」という呼称にこだわっている点。国名の変更が軍事政権下で行われたということで、その変更を認めないという姿勢なのだろうが、何だか度量がせまい気がするし、ミャンマーという国名を何気なく使っている一般人を見下しているようで嫌な感じがする。そもそも、ミャンマーという国の最大の問題が「多民族国家」であることには理解を示しながら、一部族の呼称である「ビルマ」という名前を使い続けるというのは変だと思うし、いくら軍事政権下での呼称変更とは言え、国名を変えなければいけなかった「多民族国家」としてのミャンマーの人達の苦労をないがしろにして良いものかと思う。内容がしっかりしていて大変面白かっただけに、第1部において、そうした何だか一般人もミャンマーの人たちも見下したような表現が散見されたのは残念だった。(「アウンサンスーチー」 根元敬、角川ONEテーマ21)

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