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淋しい狩人 宮部みゆき

古本屋さんを営む主人公の老人とその孫が、本が絡んだ事件を解決していくという設定の短編集。本屋さんを巡るミステリーとか、老人と孫のコンビといった設定はそれぞれ最近良く見かけるが、本書は、内容がほのぼのした事件というよりもかなり陰湿で悪質なものが多いのが特徴だ。主人公達の活躍も、最後まで謎を追及するのではなく、犯人の内面を抉り出したところまで。つまり、本書の読者は、謎解きを楽しむというよりは、犯罪の背後にある人間の醜さのようなものを見つめることになる。そうした意味で本書は、最近多い職業小説とミステリーが合体したようなほのぼのとした作品群とは明らかに異質なもののように思われる。(「淋しい狩人」 宮部みゆき、新潮文庫)

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