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心星ひとつ 高田都

2012年01月20日 | 読んだ本

文庫書き下ろしシリーズの最新刊。昨年の「時代小説の文庫本ランキング」で見かけたのがきっかけで昨年から読み始め、ようやく最新刊に追いついた。まだ完結していないシリーズなのであとどのくらい続くのかが気になるが、内容的には前作あたりで折り返し点という気がしていた。しかし、本書を読むと、急転直下、もしかして最終巻ではという展開になるのだが、最後に驚きの結末となる。主人公の夢は、料理人としての恩人への恩返し、貧しかった頃の幼馴染の救出、好きな人と一緒になること、の3つなのだが、それらが微妙に絡み合って、本書の最終話になだれ込む。そこで、本書ではまだこのシリーズは終わらないということで安心すると同時に、この後いったいどうなってしまうのだろうと読者を大いに心配させて終わる。こうしたシリーズは、登場人物への愛着や、安心して読めるということで、だらだらと続いてしまう傾向があるだろうし、途中で人気が出てきたりするとなおさらだが、このシリーズについていえば、内容がマンネリ化しないうちに主人公の壮大な夢の行く末を知りたいという気持ちがますます強くなってしまった。今後は年間2冊ずつのペースで刊行ということなので、それに従うしかないのがもどかしい。(「心星ひとつ」 高田都、ハルキ文庫)