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サダム・フセインは偉かった 高山正之

昨年読んだ「アウンサンスーチーは‥」の前作にあたる本著。少し見方を変えるだけで、過去の歴史や現在の政治・社会情勢の見え方がこうも違って見えるのかということに気づかされる。嫌いな国やマスコミ、官僚などへの批判は徹底的に辛らつだが、いちいち思い当たるところもあって、説得力がある。ただ、嫌いなものに関しては、記憶力抜群で、かなり過去の行状まで指摘して「今もそうであるに違いない」とする一方、擁護するものへの指摘は、あまり過去に囚われない柔軟性を持って語られているのが、少しバランスが悪いように思われる。要するに、両者とも時間と共に変化しているはずなのに、嫌いなものに対してはどんなに時間が経過していても許さないという姿勢がややアンフェアかなと感じられる。(「サダム・フセインは偉かった」 高山正之、新潮文庫)

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