燃えるフィジカルアセスメント

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ユイマール 連載 その12

2013-03-09 | 本の紹介

 さて、皆さん沖縄県にはカジマヤーというのがありますが、ご存知でしょうか? それは数え年97歳となった方を島の最大のヒーローヒロインとしてオープンカーに乗せ子供のおもちゃであるカジマヤー風車を持たせて集落をパレードします。 すなわち、沖縄では長寿者は英雄であり、長寿者を大切にする社会が自然と形成されており、これだけの長寿者を輩出した要因になってます。

 また伝統的な沖縄は助け合いの社会です。 ユイマール精神(相互扶助の習慣)と呼ばれ、沖縄県民社会では、相互扶助が基本的倫理原則であります。

 戦前世代の沖縄県民は面倒見が良いといわれています、これはイチャリバチョーデーの精神、一度出会ったらみな兄弟だから仲良く付き合おうというものです。

 皆さんは沖縄に来られたことはありますか? 沖縄には独特の時間の流れがあります、これはウチナータイムと呼ばれ、一面ではテーゲー主義ズボラ容認主義ともいわれてますが、これはこれで精神衛生的にはストレス回避型としてむしろ好ましい社会特性といわれています。

 エバンスが社会傾斜説、という理論を発表しています。これは簡単にいえば経済水準の低い地域は健康度や寿命が低いというものです、実際に世界的に見てみると確かに証明されます、しかし沖縄県ではこの理論をそのまま適用出来ない事がアメリカのコッカーハムにより報告されました、第二次世界大戦で国内唯一の地上戦を経験し、住民の三分の一が命を失い、全土が廃墟と化した終戦直後の沖縄は国内最悪の経済状態でした。 戦後本土が急速に発展するなかで基幹産業に乏しい沖縄県は常に遅れてきました。 現在でも47都道府県で最下位です。

 それでも沖縄県は健康長寿を達成しています、エバンスの社会傾斜説に、明らかに矛盾しています。これは沖縄パラドックスとされ、社会疫学研究者に注目されています。

 この有名な理論に矛盾した理由は、沖縄社会の強固な地域ネットワークと社会的サポートであったといわれています。

 今回はこのへんで、ちょっと長くなりましたが、そういえば学生時代親戚のさとうきびの収穫を手伝わされたなぁ、ゆいまーるといって何箇所も、最後は腰が折れるかと思ってました。

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