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総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

循環器フィジカル:ケース1のその後の経過

2018-04-20 | 勉強会
 
みなさん、こんにちは。
 
 
新シリーズ・ケース1のその後の経過をみてみましょう。
 
 
 
担当医は、冷汗も認めたことから、インスリン使用中による低血糖の発作ではないかと考えました。
 
 
しかし、簡易血糖チェックでは、血糖値200 mg/dlと低血糖は認めませんでした。
 
 
 
 
 
その後の経過と解説
 
 
 
低血糖の場合、カウンターホルモンとしてのカテコラミンを瞬時に放出するため、交感神経刺激が亢進する。
 
 
そのため、頻脈と心筋収縮力の増大(心臓の駆出量の増大)をきたし、バイタルサインでは、収縮期血圧はむしろ上昇し脈圧も増大することが多くなります。
 
 
 
 
このケースでは、血圧低下に加えて、90-75=15と脈圧が低下しており、低心駆出量状態low stroke volumeが考えられます。
 
 
 
 
一般的に脈圧が収縮期血圧の25%未満であれば、低心駆出量状態を示唆します。
 
 
 
 
このケースではまた、頚静脈圧の上昇を認めました。
 
 
さらに、身体所見より多量の冷汗を認めており、糖尿病患者で冷汗をかくもうひとつの病態として、急性心筋梗塞(急性冠症候群)も考えるべきです。
 
 
意識障害もショックによる2次的なものと示唆される。
 
 
 
 
また、心臓の聴診でS3ギャロップを認めていました。
 
 
30歳以上でS3ギャロップの存在は、左室拡張末期圧の上昇を意味します。
 
 
これは左心不全や心原性ショックで認められる所見です。
 
 
 
 
このケースではただちに心電図検査が施行され、前胸部誘導の広範囲でST上昇があり、広範前壁の急性心筋梗塞による心原性ショックの診断となりました。
 
 
 
 
緊急で、経皮的冠動脈インターベンション、CCUでのIABP、各種薬剤の治療を行い軽快しました。
 
 
 
 
最終診断:急性心筋梗塞による心原性ショック
 




写真    沖縄協同病院でのケースカンファレンス

 

 

 

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