前回に引き続き、健康長寿は子供から、親がいますぐできること、の今回は読書などについて考えていきましょう。
アメリカの国立小児保健・人間発達研究所の研究によれば、語彙・読字能力の発達が知能発達(言葉の推論、解釈、統合能力)に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。 育児者には、子供が生まれたときから、子供に話しかけるよう推奨しています。
また、大きな声で読書(読み聞かせ)をすることは、語彙や言葉を覚えたりなど、言語能力の獲得に重要な影響を与えることがわかっています。 さらに、子供が書き言葉や話し言葉のなかにみられる新しい概念や知識を増やすのに役立つことも明らかになっています。
読み聞かせを通して親が子供にさまざまなことを伝え、お互いに喜び合える時間を共有することもできます。 読み聞かせをする時間をつくってください。
カナダで行われた研究によると、一人っ子、双子、三つ子を比べたところ、三つ子の母親によりストレスが多く、子供の訴えに対する反応が鈍く、子供の知能の発達に悪い影響を与えることが明らかになりました。
育児者は子供の合図や泣き声に適切に反応してあげてください。 この育児者と子供の信頼関係が、のちの学習効果にもつながっていくのです。
2001年にアメリカ小児科学会が発表した研究では、テレビが子供に与える悪影響について警告しています。 悪影響としては、攻撃的・暴力的行動、麻薬の使用、性行動、肥満、容姿への自信喪失、学業活動の低下などが指摘されています。
日本においても、最近、岡山大学の研究で17~19ヶ月の子供の親、1900人を対象に行ったアンケート調査において、テレビやビデオを長く(四時間以上)みている子供の方が、そうでない子供よりも意味のある言葉(有意語)が出現する割合が少ないという結果が報告されました。
さらにこの調査では、視聴時に親が子供に話しかけない場合は、親が話しかけている子供に比べると、有意語が出現しない割合が2.7倍にものぼることが明らかとなり、視聴時間だけでなく、視聴中の親の態度が、子供の発達に関係している可能性があることも指摘しています。
今回はこの辺で、次回からは乳児死亡率について考えていきましょう。