燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

家庭環境は大事 連載 その48

2013-07-15 | 本の紹介

 健康長寿は子供から、親がいますぐできること、の今回は家庭環境について考えていきましょう。

 いくつかの研究で、子供の置かれている家庭環境と知的・行動の発達の関係が指摘されています。 あたたかい家庭環境がないと、親との良好な関係を築けず反社会的人格などの行動異常を引き起こし、うつ病になる子供もみられます。

 あたたかい家庭環境は「アタッチメント」を確立し、知的成長の土台をつくってくれます。 アタッチメントとは母子の愛着のことを意味します。 これは、子供の発達にとって非常に重要です。 オランダの研究によれば、二歳の子供をもつ母親77人を対象にアタッチメントに関する質問調査を行い、3年後に子供の知能レベル(IQ)を評価したところ、アタッチメントがより確立している子供の方が、そうでない子供より知能レベルが高くなるという結果が示されました。

 子供は乳幼児の世話(オムツ替え、授乳、抱っこなど)を通し、育児者との間に信頼感を身に付け、それがのちに他人への思いやりや判断力などの土台になります。 母乳育児をし、抱っこをいっぱいしてあげてください。 親または育児者との愛情に満ち、安定した関係のなかで子供を育ててください。 子供は安心して成長し、他人とのかかわりをもてるようになり、他人の気持ちを思いやれるようになるのです。

 神経学者のゴードン・ショーらの研究では、3~5歳の間にピアノレッスンを行っていた子供は、レッスンを受けてない子供に比べ、数学で使われる空間や時間を把握する能力が著しく向上することが示されました。 

 また、カナダのシェレンバーグらが2004年に144人の子供を対象に行った研究によれば、音楽レッスンが知能の発達によい影響を与えることがわかりました。 同様にドラマレッスンを行った子供にも知能の発達によい影響が観察されており、音楽以外にも、創造的で豊かな感受性と自己表現の能力を育てる活動への参加などが子供の知的成長によい影響を与えるということです。

 今回はこの辺で、次回も健康長寿は子供から、親がいますぐできること、を考えていきましょう。

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