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インフルエンザ治療のメリットとデメリット

2015-08-06 | 徳田語録

日本はいま暑い夏の真最中で、インフルエンザの流行期である冬はまだまだ先、という感じです。しかし世界的にみると、東南アジアなどではインフルエンザは夏でも流行しています。地球レベルの気候変動の影響も受け、沖縄は東南アジア型となり、夏場でもインフルエンザが流行するようなこともみられています。今後ますます気候変動が進めば、日本本土も東南アジア型となり、夏場でもインフルエンザが流行する可能性はあると思います。

 

ところで、インフルエンザの治療薬には、抗インフルエンザウイルス薬の、「タミフル」と「リレンザ」があります。世間で随分騒がれたので、心配して病院にこれらの薬の処方箋をお願いに駆けつけた方も多かったことでしょう。

 

しかしながら、インフルエンザであればどんなに軽くても抗インフルエンザ薬で治療すべきでしょうか。ここで少し考えてみましょう。どんな治療薬にも、効果など良いこと(メリット)と副作用など悪いこと(デメリット)があります。

 

また、飲んだからといって全員に効くとはかぎらないし、副作用に当たるかもしれません。メリットとデメリットとのそれぞれの可能性を考え合わせて治療するかどうかを考えることが大事です。

 

でも考える材料がないと決めることができませんね。現在までにインフルエンザと抗インフルエンザウイルス薬についてわかっていることは、

1. ほとんどのインフルエンザは軽症であり、治療をしなくても治る。

2. 発病48時間以内に抗インフルエンザ薬を使えば早く治る可能性はある。(ただし平均20時間程度短縮するのみ)

3. 薬剤で重症化(肺炎など)を予防できる可能性はある。

4. 乳幼児、高齢者、妊娠中、喘息、透析患者等の持病のある人は、重症化しやすい可能性があるので治療の適応となる。

5. まれではあるが薬剤で異常行動の副作用が起こる可能性がある。

 

これらの材料をもとにして、薬を使うかどうか決めるのはあなたなのです。医師だけが決めることではありません。ましてやマスコミが薬を飲んだほうがよいといっているから従うのも勧められません。

 

インフルエンザの治療について、自分や家族が罹患したら、医師に治療のメリットとデメリットの説明を求めましょう。よい医師であれば説明して話し合い一緒に決める手助けをしてくれるはずです。 

今回はここまでです、しかし、東京地方でも六日連続の猛暑日です、気象台の発表する気温は聞いたところによると、気象台の敷地の芝生の上に置かれた百葉箱で測定したものだそうです、実際の街の気温は絶対それ以上でしょう、皆さん本当に気をつけてこまめな水分補給をお願いします、それでは次回に。

こんなとき、フィジカル: 超実践的! 身体診察のアプローチ
徳田安春
金原出版

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