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浮腫の診療 その6

2016-12-24 | 勉強会

推奨する基本治療「OK」と「NG」 2

 

R3:次に、別の症例について相談したいと思います。

 

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症例2:52歳女性、高血圧症と更年期症候群にて近医フォロー中の患者。

7日前から両下肢の腫脹を認めたため受診。

発熱、悪寒、疼痛、胸痛、呼吸苦、動悸、なし。

最近、血圧のコントロールが不良となっていた。

来院時バイタルサインで血圧170/90 mmHg、その他正常範囲内。

身体所見上は両下肢脛骨前面の浮腫を認める。

採血検査で血清カリウム値が3.5 mEq/Lと低値以外に異常なし。

浮腫+低K血症に対して、スピロノラクトン(商品名アルダクトン)

25 mg分1を開始して2週間後にフォローとしました。

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S:これは「NG」と思いますね。

浮腫をみると反射的に利尿剤を処方する研修医がいますが、そのような反射的対症療法はNGです。

浮腫の基本治療としては、その原因よって異なります。

つまり原因検索が重要です。

薬剤歴を聴取しましたか?

 

R3:降圧剤として、アムロジピンを服用しているようです。

 

S:両側性浮腫をみた場合には、まず「薬剤性」を考えることが重要です。

アムロジピンなのどのようなジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗剤は薬剤性浮腫を来すもののうちの代表格です。

ただ、それのみではこの患者の低K血症を説明できません。

薬局からのOTC薬も含めて、より詳細な薬剤歴を聴取すべきです。

民間療法(補完代替療法)の薬など、主治医に内緒で薬剤を服用している患者は意外と多いことが知られています。

次回の外来で、この点を必ずフォローするようにしてください。

 


R3:この症例も再度診察としました。

 

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同じ症例2の患者さんの診察:

詳細な薬剤歴の聴取によって、降圧剤のアムロジピンに加え、

別の病院の東洋医学科へ更年期症候群で通院し、

そこから、「甘草」を含む漢方薬が2か月前より処方されており、

内服していたことが判明した。

薬剤性の偽性アルドステロン症と診断し、漢方薬を中止後、

徐々に下肢の浮腫も軽快し、血圧のコントロールも改善した。

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S:OKです。

すばらしい対応でした。

 

 

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