ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

中国での人類学の学会延期騒ぎ

2008-05-09 22:48:42 | 人類学
アメリカ人類学会の東アジア人類学系のMLにて、中国で7月に行われる予定だった文化人類学の学会が延期だとかで話題になっている。
ニュースとしても配信されているようだ。

http://www.signonsandiego.com/news/world/20080507-0732-china-keepingcontrol.html

http://chronicle.com/news/article/4452/a-major-anthropology-conference-i

もちろん、チベットの件が理由。北京オリンピックの前に、大規模の集会を開きたくない中国当局の意思が影響しているのではないかという。確かに文化人類学者たちというのは、いかにもチベットのために何かしてしまいそうな人たちであり、中国政府的にはチベット問題がこれだけ注目をあびているこの時期に来てほしくない人たちだというのは容易く想像できる。

かなり大きい国際学会のようで、私の知人でも行く予定にしていた人がちらほらいる。中国に関係する研究をする人類学者の間で議論に発展しつつある様子だ。

学会パネル申し込み作業

2008-03-03 01:59:48 | 人類学
昨日、AAA(アメリカ人類学会)パネルプロメ[ザル作成作業をした。某サブセクションのinvited sessionというのの申し込み期限が昨日だったのだ。

AAAはサブセクションがたくさんあり、それを通して申し込むみたいなシステムで妙に複雑でわかりづらく、しかもinvited sessionと、一般申し込みの違いがいったい何なんだかいまいちわかってなかったのだが、何となくここ数年パネル申し込み&発表などしてみた中で気づいたのが、

1)invited sessionで通ると、一般申し込みまでに自分たちのパネルが通ることが決まっていることになる。よって、一般申し込みのように、申し込んでから4ヶ月も5ヶ月も結果がくるまで待たされることがない(AAAは待ち期間が妙に長いのだ。)
2)AAAはパネル申し込みの時点で学会に登録することが義務づけられるというところなので(パネルプロメ[ザルが落とされても、登録料はかえってこないという悲しい事実)最終申し込みの期限までに通るのが確定しているかどうかって実は大きい。
3)たぶんinvited sessionの場合、まだ人が来ていない、学会の初日の最初のスロットとか、皆が帰ってしまった後の最終日最後スロットとかの、トンでもない時間帯にまわされる可能性が少ないと思われる。(去年私がやったパネルは思い切り、最終日最後の時間帯だった。)

とこんな感じなのかなーと思う。

ここのところいつも、いくつかの学会でパネルのオーガナイザー役をする機会が連続していて、今回ももう一人のひとと共同オーガナイザー。しかし、どうしても英語ネイティブではない私は、ネイティブスピーカーの人にライティングや編集などの負担を相当かけることになってしまうので、こういう時には申し訳ないなあといつも思う。そのぶん、パネルの諸々の連絡役などはやるようにはしているのだけど、、

しかし、パネルも本当は誰かがオーガナイズしてくれて、それに乗っかれると楽なのだけど、悲しいかな誘ってくれる人がいないんだよな、、ううう。

来月にはアジア研究の学会がアトランタである。またパネル共同オーガナイザーなので、パネルの夕食会の予約しなくては。(オーガナイザーって宴会幹事みたいなものだな。)アトランタなんて行った事ないので、どんなレストランが美味しいのかなどさっぱりわからん。ネットで調べるしかないかなあ。

なんだかんだいっても、田舎暮らしになってしまった今、学会で都会に行かれるというのは嬉しいことだ。

DCより帰還

2007-12-05 01:13:09 | 人類学
ワシントンDCにて、アメリカ人類学会(AAA)の年次大会が開かれ、木曜~日曜まで参加してきた。坊主マンからDCは大陸横断状態に近いものがあり、しかも途中で経由がある(今回はデンバー)ので、遠い。。出発する日は坊主マンで雪が降っており、帰ってきたら屋外駐車場の車が埋もれていたり、凍り付いているのではないかと不安だったが、なんとか大丈夫だった。

いつ行っても思うが、AAA、でかすぎ。人も多くてホテル大混雑状態だし、パネルも多すぎて学会プログラムも分厚く、みるのも大変な状態。

私の発表したパネルは、すべての日程の最後という、ほとんどの人たちが帰ってしまっているという最悪の時間帯だった。ほとんど聴衆が来ないのではないかと恐れていたが、誰もいないという状態は避けられた。

人類学者の米軍協力が議論になっていた最中の学会開催で、AAAはそれに反対する声明をだしたところだったので、この話題がけっこう出てくるかなと思ったのだが、、学会規模が大きすぎるからか、学会全体として議論になっている、という印象にはつながらないままだった。

学会中はけっこうばたばたしていたので(いつまでも自分のペーパーを書き終わっていなかったのが主要な原因)あまりパネルをみにいくことはできず、いくつか日本関係のパネルに行っただけだった。で、日本関係パネルって、こういう話題とつながっているのが少ないのだよね。(ほかの地域を扱うパネルでは、戦争問題に直接的に触れたものもいくつかあったようで、行きたかったのだけれど、、残念。)

私自身のパネルでは、発表者4人のペーパーで、それぞれ人類学と戦争の問題や、政治、人類学者の政治的責任の問題に触れようということにして、ディスカッサントもすごく言及してくださった。だが、質疑応答時間が少なかったのもあるが、戦争関係問題は質問や議論としてはでてこなかったのが残念ではあった。

アメリカにおける日本研究ーとくに歴史的研究ではなく、現代社会を研究するときにー今起きている「戦争」につなげられることがこんなに難しいという現状について、より考えさせられている。




またもや戦争協力の人類学!?

2007-10-05 16:49:20 | 人類学
今日のNy Timesに "Army Enlists Anthropologists in War Zones"という記事が出ている。
戦争中の、イラクやアフガニスタンに米軍が人類学者を送り込んで、部族間の関係や文化について研究させるプログラムに、四千万ドルをつぎ込んで大幅に拡大する予定らしい。

軍に協力する人類学者たちは、紛争を減らし、平和をもたらすためにやっているんだといった主張をしているようだが、当然、ほかの人類学者たちから、ナイーブすぎるという批判を浴びている。それはそうだ。人類学という分野自体の歴史が、植民地主義と戦争と深く結びついており、ルース・ベネディクトの『菊と刀』だって「敵を知る」ために行われたプロジェクトだったわけだ。そして、ベトナムにラテンアメリカ、、アメリカという国と、結びついて利用される人類学の問題は根が深い。

しかし、ャXトコロニアル批判や、いわゆる「ャXトモダン的展開」を経た文化人類学は、ナイーブに軍や国家に協力するような人類学というものの歴史を批判し、内省的にみつめてきたはずではなかったのか?だが、このニュースを見る限り、そうでもない人たちもまだまだどころか、たくさんいたようだ。アカデミアでの議論は単に宙に浮いたレベルのものだったのだろうか、と思うと、がっくりするし、憤りすら覚える。

ここ数年、自分自身も就職活動をしていたこともあり、アメリカの文化人類学の就職募集状況をみてきたが、中東研究や中央アジア研究のャWションの募集がかなり多かった。政府がらみのグラントとか相当出ているんだろうとは思っていた。(それ以外に、戦争などがあって注目を浴びていたということもあるかもしれないが。)そして、軍関係での人類学者の職の募集も、確かにアメリカ人類学会のサイトなどで見たおぼえがある。そこで雇われた人たちが、イラクやアフガニスタンに送られて、人類学者として「仕事」をすることになるのか。。

発掘見学にいってきた

2007-10-01 11:32:03 | 人類学
今日は一転、晴れていい天気。考古学授業の発掘実習の見学にいってきた。
ただ単に見にいった、という感じで、私には何も大変なことはなかったのだが(ところどころに落ちている、家畜の糞みたいなものを踏まないように気をつけること以外は)、一生懸命スコップで穴をほったり、土を調べたりしている学生たちは大変そうだった。重要なものが発掘された様子もなかったし、、まあでも、教室の外にでて、実体験できるというのは楽しいんだろうなあ。

発掘調査をしていた場所の風景写真を撮ってきた。写真でみると(実際にもそうだけれど)本当にど田舎、という感じだよなあ。