昔読んだ本に『青年は荒野をめざす』というのがあった。若者が日本を飛び出してナホトカ航路からモスクワ鉄道経由、ヨーロッパへの冒険旅行の話。自分も含め当時の若者がこぞって読んで夢をふくらませたものだ。そしてこれは、身勝手な家族の中で不満をつのらせていた妻がついに爆発、夫と大学生・高校生の子供を残して家出する。自由、気ままに、まだ見たことのない遠くの世界へ身をおきたい。その冒険旅行は都内で久しぶりの散財、『ボレロ』のCDをかけながら東名を疾走する。しかし、その後の道中は車を盗られるなどトラブルの続発。何とかたどりついた長崎の地、そこで目的を得たかに見えた。だが<本物の荒野で生きる人のそばにいて、気分に浸っていただけ>と自分の甘さを知ることに。荒野を選ぶということは覚悟がいるもの、タイトルに納得の本。
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