晴耕雨読、山

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参院選を前に『戦後が若かった頃に思いを馳せよう』

2019年07月03日 | 読書

副題にある憲法・沖縄・アジア・戦後補償・靖国などの重たいテーマに信念を持って取り組んできた弁護士。それらについて歴史をひもとき、左右の論説もまじえて熱く語る。最初に紹介されるいくつかの映画や書評としての著者のつぶやきは、ほんの導入部。徐々に本質に入り込み、持論をストレートに展開する。全体を通して言えるのは現政権の行状に対する厳しい眼差し。それは著者自身が撮影した本書の表・裏の写真に凝縮されているように思える。裏の写真は島原半島の原城址。いわゆる島原の乱で立てこもったところ。キリシタン蜂起と言われるが、中には仏教徒もおり、圧政にあえぐ農漁民たちの決起でもあった。ここを訪れ、圧倒的な<「大日本」と戦った>人々への思いは、同時に<沖縄辺野古で、日・米「二つの大国」と>闘っている人々のことを想う。そして<集団的自衛権行使容認・安保法制の強行採決という憲法破壊の安倍政権>と闘っている人々のことをも。もう一枚の表紙写真は奥秩父の金峰山・五丈岩。文中の「戦後が若かった頃に思いを馳せよう」の中で紹介している<「声を挙げて叫びたいほどの解放感」があったという>(今の憲法・原案を初めて見た政府の憲法問題調査委員会関係者の述懐)。あの大岩に立つ青年たちの歓声が青空に響いているようで、本のタイトルに重なって思わず納得。さらに、この章の註釈で3点を指摘している。<アジアの民衆に対する加害責任、「平和憲法」が沖縄の切り捨ての上にあった、戦没者遺族に寄り添ってこなかった>と。著者の思いが深く詰め込められたこの本、氏の知人という方から3ヵ月前に頂いた。言葉を噛みしめているうちに、こんなに時間がかかってしまった。間もなく参院選。本書で指摘されていることをはじめ、忘れてはいない森友・加計問題など積年の“思い”を持って迎える。