スケッチブック30

生活者の目線で日本の政治社会の有様を綴る

スケッチブック30(福田康夫)

2018-07-22 16:08:41 | 日記
7月22日(日)
 7月5日の産経新聞『単刀直言南京記念館「修正」評価したい』という福田康夫のインタビュー記事を再読したが、彼の本音が分かった感覚である。ここで彼が言っている大部分の話は恐らく嘘であろう。産経新聞の阿比留編集委員も言っているように、「向こうが30万人というのであれば、そこは受け入れてですね」等々、知性と常識に欠けた認識が次々と出てくるのだが、それらは恐らく福田本人も本当にそう思って言っているのではないだろう。そう言えば自分の立場が弁明できる、不利な方向に働かない、そんな保身から出ている言葉だと思う。
 彼の本音は最後の方の「30万人がどうのこうのという議論を続けていると、満州事変や盧溝橋事件以来の中国側の犠牲者が1千万人なのか、2千万人なのかみたいな話になってしまい、取り返しのつかない議論になりかねない。それを恐れているわけです」という部分にあると考える。福田は非常に憶病な男なのである。たとえ中国と全面対決になろうと日本の為に正論を貫く、そういう覚悟がからきしない男なのである。彼が政権を取った過程には全く無知なのだが恐らく田中角栄みたいに自分からもぎ取ったのではなく、自民党内の力学空間にエアポケットが生じて、偶然彼の所に回ってきたというものではないのだろうか。彼は強いと認識する対象物との、まずは摩擦を恐れるのだ。その本質が先の発言に良く現れていると思う。
 第一次世界大戦、第二次世界大戦と交戦国はお互いに何千万と殺しあっている。中国と日本も昔戦争をした、日本が負けるかも知れなかった、犠牲者の数を持ち出されても非難の材料にはならない、そう正論を述べれば済む話である。なにも「恐れている」必要はない。勿論中国側からは不快な表情をされて、愉快でない仕打ちを受けるだろうが、それを嫌がって外交が出来るか。福田のような男は日本人の一つの典型であろうし、あの時代にはそういう人間が出世したのかもしれない。不幸なことである。

 まだ散発的な情報だが習近平体制が揺らぎ始めたようだ。中興通迅(この名前だったと思うが)がアメリカに数千億円の罰金と、数百億円の将来の補償金(もしまた違反したら没収されてもかまわないという)を支払う屈辱的な条件で、アメリカ製品を輸出してもらえる和解が成立した。この例が端的に示すように米中貿易戦争は中国に不利である。経済の規模と技術力で中国の方が弱いのだ。更に習近平は腐敗摘発で多くの敵を作っている。国内基盤もトランプより弱い。周が巻き返せるかどうか、見どころのある展開だ。

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