東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

平岩道夫,『東南アジアひとりある記 : 韓国からシンガポールまで 』,白陵社,1969

2010-09-12 21:19:05 | 実用ガイド・虚用ガイド
『平岩父娘のアフリカとっておき : ケニア・タンザニア訪問一〇〇回記念・傑作写真集 』『香港・マカオ・台北の旅』『ローマレストラン・ショッピング案内』『趣味の切手ハンドブック : 集め方から鑑賞まで 』『韓国・台湾・香港男の旅』
など多数の著作をもつ方。
同姓同名かなと思ったが、NDL-OPACでも同一の個人著者標目としているし、本書の奥付にも同様の記載があるので、同一人物とみてまちがいなし。

初出『デイリースポーツ』1968年9月から150回連載。

一九六八年から六九年の正月休みに海外へでかけた日本人は一万三千人。うち八割がなんと東南アジアだったという。

8割?
実は、本書で扱う東南アジアとは、韓国・沖縄・台北・香港・マカオ・バンコク・クアラルンプール・シンガポールである。
うーむ。韓国・台北はともかく、沖縄も東南アジアとは、なんと歴史的・風土的に的確な認識であろうか!

小見出しをひろってみよう

韓国
ゴキゲンな"カジノ・プーサン"
居ながらにして三拍子が手にはいる
娯楽場ウォーカーヒル
カタコトの日本語で愛敬ふるまくホステス嬢
夜十二時から朝四時までは外出禁止
礼儀正しいキーセンたち
ボーイが女性のオーダーとりに

沖縄
那覇のバー街"桜坂"
温泉マークいっぱいの"男の天国"
赤線地帯"十貫寺"
コザには"吉原"がある
南国の楽園"石垣島"
"男子一生の恥……"?

台北
華やかすぎる"台北の夜"
"酒家"は美人ぞろい
"珈琲庁"とはおさわり専門喫茶
台北セックス旅行
情こまやかな待応生
新北投だけではの女のコが足りない
高砂族の"烏来"

香港
クツの値段のはなし
"クツずれ"に注意しよう
水上レストランは竜宮城
裏通りに密集"売春宿"
ゴキゲンな"飲茶"
大丸百貨店のレストラン
連れ出し自由のダンスホール
香港のリベート合戦
日本語学校大繁盛
豪華なミラマーホテル
香港の赤線と青線
奇妙な"女子美髪庁"
サンパンが並ぶ水上遊郭
豆電球が営業中の合図に
ヒヤカシ程度が賢明

マカオ
公認のトバク場とドッグレース場
中式と中西式の二通りがある

バンコク
名物"トルコぶろ"
ソコまで懇切ていねいに
微妙な快感"リイマ"
水上マーケットの旅
驚くほど安い果物
ガラス越しにホステスを選ぶ
"温泉マーク"がいっぱい
大もての日本人ホステス
ものわかりのいいコばかり
バンガローとは……
試食したいタイ料理
日本料理店も多い
ゲイボーイのはなし
オカマや映画・実演も
タイみやげのお買い得品
日本語を話す店員もいる
南京街の遊びの名物は
以外に多い青線
茶室で美人あんまがサービス
サムローは荒っぽく危険
チェンマイは美人の産地

クアラルンプール
典型的なアラビア風建築
ハッピー・マッサージ
電話一本でホテルへも
プロの女性に不自由しない
ダンスホールのはなし
指名料払えばぴったり相手に
冷房施設のあるホテルを
リキシャでの見物はいかが?
錫の露天掘り

シンガポール
人気ナンバーワンはワニ皮製品
宝石は日本の半値
アナ場は"ワールド"
ホステスの連れ出し自由
バーは日本と同じシステム
人口二〇〇万の美しい町
楽しいマレーダンス
うまい物いっぱい
試食した"露天料理"
一一階建てのホテル・マレーシア
豪華な"機内食"
一食分うかせるのが常識

などなど、若い諸君には意味不明の語句も多いだろうが辞書で調べるように。
これらの小見出しは、ジョークでも露悪趣味でもない。もちろん告発でも皮肉でもない。
まっとうに正直に観光案内を書いているのである。ほんと信じられない。別にわたしは道徳的にどうのこうの言っているのではない。当時のふつうのサラリーマンにとって(いや、サラリーマンという身分は当時まだ普通ではなかったのだよ)半年分以上の月給を使って行くのに、こんなどうでもいいことしか興味ないのか?とアゼンとしてしまう。

ちなみに本書によれば、東南アジアのいたるところ日本語が通じるようだ。

つまり、これは実用的ガイドではなく、単なる読み物、夢のようなはなしなのだろうか。
随所に間違いやデタラメがあって笑えるが、頭をかかえるような記述もある。

一般に韓国女性は、バストがみごとなほど発達しているが、これは子供のころからチマ(下着)で適当に圧迫し、刺激しているかららしい。

シンガポールでは、
ゲテモノ趣味の向きには、
ボルネオの洞窟でとれる馬の巣!!
がある。誤植とも思われない。なんで馬の巣になったのだ??

それにしても、こういうガイドを書いていた方が、ケニアやタンザニアに行って野生動物の写真をとり、観光親善大使になっているとは。マサイの子供たちの小学校に寄付し教育支援活動もやっているんだそうだ。


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