東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

宮田珠己,『東南アジア四次元日記』,旅行人,1997

2010-09-02 21:50:53 | 旅行記100冊レヴュー(予定)
文庫は文春文庫PLUS 2001
    幻冬舎文庫 2010

実は初めて読むのです。
親本の旅行人版を買おう買おうと思っているうちに品切れになり(蔵前編集長すまぬ)、文春文庫も買おうと思っている時に見つからずで、今回幻冬舎から出たのでゲット。

読むと脱力して元気がでる本だ。
本書のあとの『わたしの旅になにをする』などより、強烈なギャグは少なく、わりとちゃんとした(?)旅行記だ。とはいうものの、思わず噴出す場面は多々あるが。

旅程は、香港~ベトナム南部~カンボジア~ベトナム北部~ラオス~タイ北部~ミャンマー~タイ中央部~マレーシア~シンガポールという黄金コース。ミャンマー以外は陸路を歩く、もはや定番といっていいコースだが、サラリーマンをやめて長期旅行に出かけられるという開放感にあふれた旅である。

 何もかも忘れてのんびりしたいと思うことがあるが、実際にのんびりできたためしがない。今も、体は疲れているし、気力もダレているが、かといって休養ばかりでは退屈で落ち着かない。
 何でも海外旅行というと、あちこち観光して回ったり、うろうろしてひとつとこrにじっとしていられない旅行者は馬鹿にされる傾向があるが、そういう風潮には納得いたしかねる。私に言わせれば、右も左もわからない土地でうろうろしているうちに、元へ戻れなくなって、にっちもさっちもいかなくなったり、行きたいところにたどり着けなくておろおろすることこそが旅の醍醐味である。(p167-168)


うーん。わかる!

それにしても、ラオスビザが100USドルというのにはびっくりした。当時はそんな時代なのである。その高いビザ代を払い、ワット・シェンクアンなどというお間抜けな寺のようなテーマパークのような所を見るだけ、という旅行である。
ちなみに、現在は15日以内なら日本人は無料!ベトナムも15日無料である。
入場料無料の遊園地みたいなものだ。
それから調べてみたら、ワット・シェンクアンって意外と有名な所なんですね。ほかに見るようなところが無いからかもしれないが。

東南アジアの旅ってこんな具合なんだなあってわかるという意味ではベスト5にはいるくらいの良質な旅行記である。ほんと。