◎末松太平事務所(二・二六事件異聞)◎ 

末松太平(1905~1993)。
陸軍士官学校(39期)卒。陸軍大尉。二・二六事件に連座。禁錮4年&免官。

15.事件関係者の息子が実際に接した「二・二六事件の人たち」(20170204) 水上源一さんのこと(その14)湯河原襲撃ー2

2017年02月04日 | 今泉章利
15.事件関係者の息子が実際に接した「二・二六事件の人たち」(20170204)
水上源一さんのこと(その14)湯河原襲撃ー2

水上さんのみならず二・二六事件の一次資料という意味では、もちろん、(元東京地検にあり、いまは)国立公文書館にある裁判資料が一級と思います。この一日も早い公開が待たれます。拘束から判決、処刑までの130日間の記録です。
世界的にも類を見ない記録だと思います。

あと、神奈川県公文図書館というところにある神奈川県特高関係資料という警察の資料もあります。「二・二六事件前後の神奈川県特高関係文書」(今井清一)というリストがあり、右も左も博徒まで、213資料があり、そのうち、牧野さん襲撃関連は、横須賀の病院に入った宮田さんのもの、牧野伯に関するものなどのほか、番号でいうと、104,107,110-135、145-147、165、178-など(以下略)があります。
ひとつ注意いただきたいのは、「私はそのときその場にいた、、」という様な断片的な新聞や週刊誌などに書かれている記憶たよりの資料が時々ありますが、長い年月で、勘違いが増幅して、思い違いを「真実」として語る場合もあるので、わずか80年の歴史であるが注意して資料を扱うことが重要であります。
あとは、国会図書館の憲政資料室がおすすめで、未開拓の資料が山のようにあります。皆様の地道な研究を期待しております。

資料は、いきなり詳細について述べれているので、どうしても我々は、資料を読むのではなく、資料に読まれてしまう傾向にあります。
ご自分なりに、おおまかでいいので、事件の年表と全体像をつくられて、この資料はいつ、どういう人が作ったものかを、評価しながら読むことが必要です。一次資料なのか、孫引きなのか、歴史家は、文章がうまいので、注意深く読むことが必要です。
私の父の事を、佐賀出身であるということだけで、事件を前々から知っておきながら、裁判で知らぬ存ぜぬというような卑劣なやつと、田中惣五郎という著名なひとが、想像断定して書いていた記事を、今でも悲しく思い出します。きっといつの日か、誰かが図書館とか古本屋でこの本を見つけ出し、「これが真実」と思う日が来るのかもしれません。父はノンポリで、軍務教育に専心しておりました。このように歴史は、作られていきます。
真崎黒幕論、北一輝黒幕論、あるいは、取るに足らないことをあげつらう学者や文筆家がいます。
この事件が、起こった理由が何で、結果的に我々になにをもたらしたか。あの翌年、日中戦争を勃発させたのはだれか。なぜ国民は非難できなかったのか。争臣はなぜいなかったのか。
女性や子供までも犠牲にした国家総力戦は、どうして食い止められなかったのか。21世紀の我々は、次の世代にどのような教訓を残せるのか。

「誤謬は常に繰り返される。従って真実は繰り返し繰り返し語られなければならない」 (ゲーテ)
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