学年だより「ドーパミン」
体育祭お疲れ様でした。三年生の強さはひしひしと感じただろうが、十分に闘えたという実感ももてた大会ではなかっただろうか。来年は、下級生を圧倒する力を見せよう。そのために、この一年間、人としてがっつり成長いこう。
そのためには、毎日脳内にドーパミンを放出しまくって、勉強、運動、行事、友人関係あらゆる面で前向きに取り組んでいく必要がある。
「文武両道」というと、言葉は古くさい(実際、司馬遷『史記』にまで遡るらしい)が、脳内物質の働きから見ても、理に適ったありようなのだ。
部活で今一つ成果が出ない、人間関係も煮詰まっている、何より時間がとられている、よし部活をやめよう … という発想はありがちだ。
心機一転うまく運ぶ場合もないことはないが、気持ち的にマイナスのままだと、勉強もはかどらない。結果的に、時間ができたにもかかわらず、思ったほど成果が出ないということは、よくある。 マイナスの精神状態では、何をやっても思ったようにいかなくなるし、逆に、やる気に満ちあふれている状態は、部活でも調子がいいし、勉強においても短時間で効果的な学習ができる。
その要因として考えられるのが、「ドーパミン」とよばれる脳内物質の働きである。
この脳内神経伝達物質は、人間の「快感」「やる気」「学習能力」などを司っている。
生物が自己の生命を維持していくためには、自己のおかれた環境に適応していく必要がある。
自己の生命維持のためによりよい経験をした場合には快感を感じ、再びその快感を得るためにはどうすればよいかを学びたいという意欲がわくようにするのがドーパミンの働きだ。
ものごとがうまくいった時には、再びその経験をしたいと人は思う。興味がわいたことにのめりこんだり、苦しい勉強や練習にでさえ、時間を忘れてうちこんだりする時がある。
生きる意欲そのものを司ると言えるドーパミンが放出されやすい状態は、結果として勉強にも運動にもよい影響をもたらす。
~ 皆さんの周りにも2歳の子とか、5歳の子とか、小学生とか、小さな子どもがいると思いますが、よく観察してみてください。子どもの脳は元気です。なぜ元気なのでしょうか。若いから元気なんだ、というのは当たり前です。
実は、子どもたちの脳が元気なのには理由があるのです。
その秘密を担っているのが、「ドーパミン」という物質です。
脳の真ん中の中脳というところから、前頭葉に放出されます。ドーパミンが放出されると、脳は嬉しいのです。嬉しいだけではなく、前頭葉を活性化してくれます。
前頭葉は脳全体の司令塔です。前頭葉が活性化すると脳全体も活性化し、回路を強めてくれるという働きがあります。
ドーパミンは前頭葉のために神様が作ってくれた素晴らしい物質なのです。
子どもの脳が若々しいのは、ドーパミンがたくさん出ているからです。 (茂木健一郎・羽生善治『「ほら、あれだよ、あれ」がなくなる本』徳間書店) ~