放課後、年明けに行われる「南古谷ニューイヤーコンサート」の打ち合わせに出かける。
こんどで第10回目になる。10年か。はやいものだ。第一回に出たのは20期関根部長の代だった。
当時部員70人を越えていたので、吹奏楽部門のなかで最後の方に演奏し、そのあと部員が少し減ってからも、合同バンド以外ではトリの出番で出演させてもらってきた。その責務もけっこう果たしてきたと思う。
打ち合わせを終えて、職員室にもどりパソコンに向かっていると、かぎしめをしたチャリ軍団のひとりが、先生アンコンのとき遅くまで練習させてくれてありがとうございました、と言ってあったかい紅茶花伝を差し出す。
結果出せなくてすいません、とか言い出すので、ばあか、全部終わったみてえなこと言ってんじゃねえよ、これからだるぉがよ、本番は! とっとと帰って勉強しろ! 的な言葉を返し、紅茶花伝を一口含んだら泣きそうになったがこらえた。
試験休みが明けたら、すぐアンサンブルの校内発表、新人戦、ニューイヤーコンサートと続く。
次から次へと … か。これがなくなったら、どうするんだろ。
10年後の自分には、たぶんないのだ。