土曜の午後、上京する両親を迎えに東京駅に向かう。
知らないうちに「銀の鈴」近辺がおしゃれな雰囲気になってて驚いた。
増上寺に行き徳川ゆかりのお墓を見たいと話していたが、あいにくの雨だったので、急きょ国立演芸場に向かい、寄席の雰囲気を味わってもらうことにした。
落語芸術協会主催のいい顔ぶれだったが、わずかに当日券が残っていてよかった。
うめ吉さん(小唄や踊りのきれいなお姐さん)の踊りはしっかり見ていた父だが、歌丸師匠渾身の長講「双蝶々」は爆睡されていた。
川越にもどり、孫と会食。翌日曜はのんびりしたあと、島津亜矢の明治座公演へ。
夕飯を食べながら、父の食がずいぶん細くなったと思うものの、80歳を過ぎればそれも当然、こうして元気にはるばる上京してもらえることを内心感謝する。
ここ何年か風邪一つひいた記憶のないこの体に生んでくださったことも感謝しつつ、明日は勝手に帰るからと言う両親をホテルに残して川越にもどった。
コンサートの間、自分は人形町界隈をふらっとし、ドトールで新1年生のパート割りを考えたり、見城徹・藤田晋『人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない 』を読んだりする。
前夜、34人の入部希望者がいたことをなかじま先生から聞き、安堵していた。
現在、木管がやや人手不足の状況で、今年の夏、来年の夏を見越してどうわりふったらいいか。
あまりに完璧な割り振りを作ってしまうと、誰か一人やめた時に一気にバランスがくずれることもありうる。でも、Aに出るバンドでやっていくには、全員がきちっと持ち場で働いてもらう必要もある。
2・3年のメンバーをノートに書き出しながら考えていると、残された時間とやるべきこととの相関でちょっとあせってくるが、部員の前ではそんなあせりはいつも微塵も見せてないとこがえらい。
あけて今日の放課後は、いよいよ新入部員の楽器体験初日だ。
4人の経験者も含め、二日間ですべての楽器を体験してもらい、あさってパート決めをする。
直前になって、カードを出したけどやっぱり他の部に行きたいという子が3人来た。
体験をスタートしてから、入れますかという子が来て、現時点で32名。
明日とか、もう何人か来てくれないだろうか。
「もし迷っている子がクラスにいたら、すぐに連れてきて」と1年生に声をかけ、一日目は終わった。
学年だより「目標達成のピラミッド」
「Take a chance on you. 君はどうしてここにいるの? 君がやりたいのは音楽だろう。だったら、自分に賭けてみなさい。」
仕事をやめて音楽の専念するべきだとボブは言う。
実はボブさんは、アンジェラの歌を聴きにいっていた。
アンジェラの歌をバーで聴いてみると、自分もバンド経験をもつボブさんには、その才能がなみなみならぬものに思えた。
会社とは全く異なるオーラを発するアンジェラに、「君はなんでここにいるの? 君が向かっていくべきは音楽だ。そのために自分という存在を賭けてみなさい」と言いたかったのだ。
しかし、アンジェラさんは悩む。
自分はやっていけるのか、本当に独り立ちできるのかと決断できずにいた。
するとカウンセラーとしての経験もあるボブは、社内セミナーで「人生を実現するための目標設定のピラミッド」を教えた。
紙に三角形を書き、二本の線で上・中・下の3層に分ける。
そこに短期・中期・長期と3つのスパンで目標設定して書き込んでいく方法だ。
ピラミッドの下の層には、6年から10年先に実現したい目標、夢を書く。
その上の真ん中の層に、3年から5年後の目標を書く。
一番上の部分に半年から2年のうちにやりとげたいことを書く。
すると、ピラミッドの頂点には、今やるべきことが自然に現れるというものだった。
アンジェラさんはその通りに自分の夢を書き出してみた。
そして今自分がやるべきことから初めてみよう思えた。
自分に賭ける覚悟を決めたのだ。
「目標を紙に書き出してみること」これは、いろんな本に書いてある、夢実現の方法だ。
誰しもが夢や目標をもつ。
しかし自分のやりたいことを漠然と妄想するだけでは、それは実現しない。
自分は「何を」やりたいのか、「どう」なりたいのか。
そして「いつまでに」それをやりたいのか。
そのためにどういう段階をふめばいいのか。
それがさだまってないと、努力の方向性が見えてこない。
紙に書き出すことによって、自分の目標を視覚的にあきらかにする。
すると必然的に決まってくる今日やるべきことを、着実にこなしていく。
結果が出るか出ないかは、類い希な才能やらセンスやらが決めるのではない。
正しい方向の努力をどれだけ地道に積み重ねたかによる。
もちろん10年先の自分を想像することは難しいだろう。
しかし3年後にどうなっていたいかは、みなさんもイメージできるのではないだろうか。