がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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テンペスト行脚~冊封使行列~

2009年11月04日 | ・『テンペスト』行脚

■冊封使行列■

冊封使のメインイベントは何と言ってもパレードである。

数十騎の馬を駆り、旗を振り、楽土たちを引き連れ、
超大国の威信をかけた総勢500人にも上るパレードに、
民衆は熱狂するのである。

異国情緒溢れる音楽、衣装、そして清国人の涼やかな顔つき、
見るもの聞くものすべてが琉球の手本となるものばかりだ。

民衆の目には彼らは海を越えて果報をもたらしにやってきた
神のように映った。

爆竹が間断なく鳴り響く中、冊封使の一行が王宮へ向かう。

その姿をうっとりとする眼差しで民衆が囲む。

「大清国の繁栄は永遠だな。さすが琉球の宗主国だ」

「私も一度は清国に行ってみたいものだ」

「おお、あの正使様の衣装を見よ。まるで王ではないか。
あれで使者の身分か」

民衆はまだ超大国の威光を信じている。

しかし清国はこのとき襲い来る列強の脅威と闘ってもいた。

 

「テンペスト(上) 97-」より 池上永一著/角川書店

↑のテンペストの抜粋は冊封儀式前の、
天使館から首里城までの行列のことなのですが、
今回は見れなかったので、

首里城祭3日に行われた琉球王朝絵巻の冊封使行列を
それにみたててご紹介しました★

本来なら400人~500人というものすごい人数で、
それはもうきらびやかに、華やかに行われたと思われます。

この冊封使をもてなすことは琉球の国家プロジェクトである。

(P96-)

とテンペストにもあるように、
400~500人の冊封使を迎え、しかも半年~1年あまりの長期滞在、
その間の滞在費用や接待などは全て王府持ちだったそうです。

そのもてなしのために、琉球の芸能や文化は洗練されていきます。

また、

清国からの来る船には大陸の珍しい品や書物、医薬品、調度品が積まれている。
琉球が清国に朝貢
(※貢物を納める)
すれば、
清国はその十倍以上のお返しをしてくれる。

(P96-)

朝貢・冊封の関係で琉球は中国との貿易が正式に許され、
政治的、経済的にも重要な役割を果たしていました。