がじゅまるの樹の下で。

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スーパーふみあがり

2017年01月10日 | ・琉球史散策/第一尚氏

 

 

今日は1月10日、110でモモト(百十)の日!
(※勝手に和々設定)

前はイラストUPしたりしてましたが、
キラキラ化で描いたばっかりでもあるので
今回はこんな記事を。

 

 

ももとふみあがり

 

という名前は、
尚泰久の娘で、阿麻和利の妻である、
あの彼女の個人名ではなく、
神名であることは割と知られています。

だから、
彼女の、いち女性としての個人名は、
実は謎。

 

小説『百十踏揚』では
「真鶴」
と呼ばれています。

オーソドックスな琉球女性名ですね。

 

 

「ふみあがり」(踏揚・踏上)

という神名は
三十三君のリストの中にもあって
『女官御双紙』では

尚泰久の娘で、阿麻和利の妻である
あの彼女以外にも、

"下之世之主の思い子"

も「ふみあがり」として名を連ねています。

 

 

なお、参考にした『琉球の裏面史(石川文一著)』では
下之世之主の思い子は
察度王時代の島添大里按司の姫、って書いてあるけど、

沖縄大百科辞典で「ふみあがり」の項目を調べると
尚泰久の娘で阿麻和利の妻の彼女が
初代「ふみあがり」に任命されたとあり、

主張する時代にずれがあってちょっと曖昧。


また、
女官御双紙では「ふみあがり」は二人だけですが、

沖縄大百科事典によると、おもろそうしでは
北山にも「ふみあがり」が謳われているみたいです。

更に、下の世之主之の思い子の君も
阿麻和利の妻の彼女とイコールになってるし、
いよいよ曖昧;

 

 

で、ここでふと沸き起こる疑問。

 

「ふみあがり」が三十三君にもある神名であり
尚泰久の娘で阿麻和利の妻の彼女
以外にも「ふみあがり」の名をつけられた女性がいるのは分かった。

 

でも、神名ってあくまで
「ふみあがり」
であって

「ももとふみあがり」
ではないよね???

 

じゃあ、
「ももと」っていう部分は何?

 

これは個人名のか!?

 

それともやっぱり

ふみあがり=ももとふみあがり

という神名???
(本を読んでるとそういう解釈が多い気がするので)

 

 

「ももと」とは「百十(百度)」

百に十を重ねる、または百度ということで、
何度も、
いつまでも、
というような意味で、

 

「ふみあがり」は「踏揚(踏上)」

踏んで揚(上)がるということで、
気高い
とかそういう意味。

 

その意味合いからも
「ももと」と「ふみあがり」は
まるでセットのよう。

 

 

で、色々話して考えて出した結論。

 

 

三十三君にある神名リストでは確かに
「ふみあがり」だけなんだけど、

じゃあ「ももと」が

「真鶴」とか「まゆみ」とか「花子」みたいな

女性としての個人名かというと
そういうわけでもなくて、

 

 

「ふみあがり」

という神名の

強調枕詞では??

 

 

つまり、 

ただの、イチ神女としての
「ふみあがり」ではなく、

スーパー(超)ふみあがり

という意味の

「ももと ふみあがり」

 

とにかくすごい
的な。

 

 

で、そのスーパーふみあがりは

尚泰久の娘で阿麻和利の妻の、
例の彼女ただ一人のことでは?

 

という話。



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写真は首里・琉染内にある展示