「Ｙの悲劇」（アンソロジー）

エラリィ＝クイーンの名作『Ｙの悲劇』をモチーフにした競作集。
豪華なメンバーが執筆してます。どれもダイイングメッセージもの！

☆「あるＹの悲劇」有栖川有栖
　これは以前に読んだ『スイス時計の謎』にも収録されている火村シリーズの短編。
　改めて読むと、ダイイングメッセージって魅力的な謎なんだな～と納得。
　有栖川氏は結構ダイイングメッセージものを書いていますが、
　死者が何を言いたかったのか・・・というのは、大切なテーマですよね。

☆「ダイイングメッセージ《Ｙ》」篠田真由美
　建築探偵シリーズを読んでいて良かったな～と思った作品。
　京介と深春は出てきませんが、蒼の視点の物語です。（シリーズ未読の人も楽しめます）
　これも「Ｙが殺す」というダイイングメッセージの謎がメインですが、
　事件の道具立てに工夫がこらされていて、物語も楽しめます。

☆「『Ｙ』の悲劇―『Ｙ』がふえる」二階堂黎人
　二階堂氏の作品を読むのはこれが初めてなのですが、
　今回の作品は「メタ」に取り組んでみた、という感じなのでしょうか？
　面白かったんですけど・・・こんな殺害方法は「前代未聞」でした（＾＾；
　そして、犯人の意外性も「何じゃ、そりゃ～」という、とんでもない作品でした。

☆「イコールＹの悲劇」法月綸太郎
　これは『誰彼』にも匹敵するパズルですね。
　作品の構成も、どうなるの？という興味をそそられる展開だし。
　綸太郎探偵は悩みもせず、名探偵らしく頭を働かせています。
　でも、悩んで欲しいような、悩んで欲しくないような・・・
　綸太郎くんは、不思議なキャラクターですね（＾＾；

ということで、ダイイングメッセージ・・・
そんな状況はありえないと思うけど、もし自分なら命の瀬戸際にどんなことを書き残すだろう？
そんなことを考えてしまいました。
自分が殺されることに理不尽さや憎しみを感じるのなら、犯人の名を書くかも。
でも、死んでも仕方ないな～と思うのなら（どんな状況？）
「ありがとう」とか書いて死にたいものです。←かっこつけすぎ？

でも、ものすごくパニックに陥ってたら・・・
「ウナギ（食べたい）」とか書いてしまいそう（笑）
悩むでしょうね～、捜査陣たちは。