出津(しつ)文化村の中、出津教会のすぐ近くにド・ロ神父記念館があります。
マルコ・マリ・ド・ロ神父(1840-1914)は、宣教師として、また石版印刷の技術を伝えるために28才でフランスから来日し、74才で亡くなるまで日本ですごし、外海地方の貧しく厳しい生活を強いられている人々を救うために、社会福祉や産業開発などに力を尽くしました。
その遺徳は今もなお「ド・ロさま」として慕われています。
ド・ロ神父記念館の建物は、1885(明治18)年に神父が鰯網工場として建てたもので、翌年からは保育所として使用されました。
中にはド・ロ神父の業績を顕すものやこの地方のキリシタンの資料がたくさん展示されていました。
建物の前にはド・ロ神父の像があります。
向かい側にも神父が村人の窮状を救うために建設した授産場とマカロニ工場があり、合わせて「旧出津救助院」として国の重要文化財になっていますが、ちょうど修復中で見ることはできませんでした。
ここでは、パン・マカロニ・そうめんの製造、染色、織物、搾油作業、機械作業等が行われ、明治初期の授産・福祉施設を知る貴重な遺構です。
ド・ロ神父は建築技術にも造詣が深く、出津教会、大野教会、旧出津救助院、旧羅典神学校等を設計、施工し、また建築技術を日本人に指導、養成しました。
石を積み重ねる独特の工法を工夫し、「ド・ロ壁」と呼ばれる壁がマカロニ工場の横に残っています。