湯浅町の旅の途中ですが、5月30日に大阪市立美術館に「小袖-江戸のオートクチュール」展を見に行ったので、横道にそれます。
会期は4月14日~5月31日とすでに終了したのですが、行きたいなあと思いながら例の新型インフルの騒ぎのせいで、大阪方面には足を踏み込まないほうがいいかと、ほとんど諦めていました。それが、下火になってきたことだし、いよいよあと2日という頃になって、あれもこれも病に火がついてしまい、やっぱり見に行くことに。
行ってよかったです。
松坂屋さん、すごいです。よくこれだけの着物のコレクションを収集保存されていたものです。
1611(慶長16)年、名古屋で創業された呉服商を母体として、百貨店に発展した松坂屋は、新たなデザインの研究と呉服意匠開発を目的として、昭和6年、京都仕入店に染織参考館を設置し、古今東西の染織関係資料を積極的に収集しました。
なかでも、小袖は総数700点を数え、国内でも屈指のコレクションとなっています。
小袖は安土桃山から江戸時代の女性達が着た袖の小さな着物で、特に上流階級の女性達は呉服屋に好みの小袖を注文して作らせ、刺繍、絞り、友禅染などの技法が駆使され、華やかな模様や色や、斬新なデザインの様々なものが作られています。
今回はそのうち、約300件の小袖や、そのデザイン帳である雛形本や、関連する絵画、工芸品などが展示されていました。
古くて、色あせたものも多かった中に、目にも鮮やかな作り立てのような江戸期のものもあって、作られた後、袖も通さず大事に保存されていたのかもしれません。
たくさんの着物がずらりと並んでいて、どれもこれも素敵でため息がでます。
詳しく見ると時間もかかり、しかも、皆考えることは同じらしく、インフルエンザが下火になったのを待っていたかのように大勢の人が押しかけていて、展示の前に並んだ人の頭越しにしか見られないところも多かったです。
マスクをした人もあんまりいなかった模様。
これが京の新町通り六角下ルにある松坂屋染織参考館です。
祇園祭の時には甲冑鎧ほかの屏風飾りが展示されているのを何度か見ましたが、最初は松坂屋の配送所かなんかかと思っていました。
この中にあんなにたくさんの着物が収められていたとは、大阪に出ての出展だけでなく、この町家の中で着物コレクションの展示がいつでも見られたらいいのになあと思いました。
展示の最後には祇園祭の時の屏風飾りが再現されていて、コンチキチンも流れていました。
ところで、大阪市立美術館は、
大正10年に住友家から大阪市に美術館建設を条件に茶臼山本邸が寄付され、1936(昭和11)年に完成したものです。昭和10年代のコンクリート建築らしい簡素なデザインの建物です。
この美術館でよかったのは、館内に喫茶スペースや、レストランスペースがあって、観覧途中でも疲れた時に、休憩したり食事を摂ることができることでした。
JR天王寺駅からすぐのところにゲートがあって、美術館エリアになっています。
向こうに見えるのが通天閣でしょうか。まだ行ったこともないのです。